海部郡に引っ越ししてからはリールばかり改造していて、全然竿を作らずにいた。色々と考えることがあったから。やはり実戦で問題点や要望を洗い出しながら構想するってのがスジだと思う。で、ようやくサカナも釣ったことだし、現時点で管理人の考える、「海部郡クリーク打ち・その辺の溝狙い」用の竿を1本作ってみる。名付けて、特殊攻撃雷魚竿「南山・蛇頭殺」、これも飛行機の名前だね。
まず、特殊攻撃機「南山」の説明をしておく。
この飛行機は復元されてないから当時のモノクロ写真しかない
「南山」といってもご当地名古屋の「南山大学」じゃないのは当たり前
でも、設計・製造は「愛知航空機」だからね
いつもの通り、航空サイトじゃないから詳しい解説はしないが、この飛行機は前に紹介した特殊攻撃機「晴嵐」の陸上機型なのだ。だから、「晴嵐」の脚がフロートなのに対して「南山」はフツーの車輪になっている。一応、「晴嵐」の練習機ということで帝国海軍の記号ではM6A1-Kになっており、この「-K」ってサブタイプが練習機の意味なのだが、練習機、ってのには諸説あるらしく、「晴嵐」の飛行特性試験用だという話しもあるみたい。あと、「晴嵐」や「南山」の名称にも諸説があり、水上機型が当初「試製南山」と呼ばれていたが「南山」=「難産」に繋がるから「晴嵐」になったとか、陸上機型は「南山」じゃなくて「晴嵐改」だとか・・・。とにかく「晴嵐」や「南山」は謎の多い機体なので研究家にとっては悩みの種のようだね。
で、手持ちの竿を何種類か「その辺の溝」で使ってみたのだが、7ft以上の長さの竿は必要性を感じなかった。手持ちの7ft未満の竿はバレーヒルのジギングロッド「Gradius」を改造した全長148cmの史上最短・フローターライギョ竿「仮称晴嵐・蛇頭殺」と、6ft2inchの雷撃フッキング用「秋水・蛇頭殺」なのだが、「秋水・蛇頭殺」はカバー用に作った竿なのでアンタレスや旧ウルトラマグみたいなPE6号クラスのリールをセットするとバランスが悪い。リールが軽すぎるってコトだね。となると「仮称晴嵐・蛇頭殺」、これはとんでもなく硬い竿だから、ゴブリンみたいな軽量級のカエルはイマイチ使い勝手が悪いし、70クラス程度なら足元でフルフッキングしたらサカナが完全に吹っ飛ぶ、カムルチィが宙に舞ってしまうから、もう少し柔らかい竿の必要性を感じたのだ。長さは5ftでも別に問題はない。フッキングの悪さは足元だから緩和されるし、ショートロッドで足元狙いだとバレやすそうに思えるけど、フッキングで硬いアゴをブチ抜けばそんなにバレないと思う。遠投もする必要がないし、溝伝いに歩き回ってサカナを探す釣り方なのだから、短い方が携帯性もいい、邪魔にならないに決まってる。開き直って遠投を捨てるコトができれば結構メリットはあるのだ。
アルガマスターのブランク部と「仮称晴嵐・蛇頭殺」の比較
さすがは特殊攻撃雷魚竿、フツーのライギョ竿のブランク部よりもまだ短いのだ
ようやく「南山・蛇頭殺」のもつ意味合いが判明してきたと思う。要するに、竿のコンセプトは「仮称晴嵐・蛇頭殺」と同様の超ショートロッド、ただ、「仮称晴嵐・蛇頭殺」はフローターからカバーを狙う「水上機仕様」なのだが、「南山・蛇頭殺」は歩いてその辺の溝を狙う「陸上機仕様」なのだ。あと、特殊攻撃雷魚竿とは「その辺の溝狙い」が管理人にとって特殊すぎること、竿の長さも特殊すぎるくらい短いことを念頭に置いたネーミングだ。もちろん「フローターでのカバー狙い」も特殊攻撃なのは言うまでもないだろう。今回も飛行機の名前とコンセプトはバッチリ一致させてるから、ネーミングセンスってのは素晴らしくいい、と思うぞ。その代わり、カッコいい竿を作るセンスは一切ないのだが・・・
もう一つだけ補足しておく。管理人は普段はカタカナで「ライギョ」と表記するし、「ライギョロッド」って言い方はせずに「ライギョ竿」って言う人なのだが、今回の特殊攻撃雷魚竿「南山・蛇頭殺」という名称は漢字で「雷魚竿」と表記している。雰囲気から感じるとは思うが、「特殊攻撃ライギョロッド」や「特殊攻撃ライギョ竿」みたくカタカナを混ぜてしまうといい感じがしないのである。なので、今回は特別に漢字で「雷魚」と表記することにしている。
それではいつも通りの構成部品の紹介だ。
まず、ブランク、
メーカー
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種類
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型番
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長さ
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ライン
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ルアー
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アクション
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バット径 |
ティップ径
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重さ
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値段
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Lamiglas
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ソルトウォーター |
CGBT781M |
6ft6inch |
15-30 |
- |
M |
0.725 |
9 |
5 1/2 |
$83.00 |
ラミグラスのソルトブランク、但しカーボン・グラスコンポジットを使う。コンポジットなのはカーボンより無理がきく、フルフッキングとかで手荒に扱っても大丈夫そう?って考えなのだ。弾かなさそう、なんてのもちょっとはあるのだが、それよりもコンポジット故の粘りに期待している。このブランク、「秋水」のセンクロブランクとスペック上は変わらないのだが、もっと硬いブランクだ。違うメーカー同士の表示は比較対象にならないコトのいい見本だったりする。
この肉厚に注目!
こんなけブ厚けりゃ・・・
もちろん6ft6inchと長いブランクなので切断して長さを調整する必要がある。ただ、単純にバットだけ切断して短くしても、バットパワーのない、タメの効かない竿になってしまうだろう。コンポジットだから余計にそうなってしまいそう?なので、バットとティップをそれぞれ詰めながら調子を確かめていく必要がある。ちょっと難しそうだね。
お次はガイドだ。
左からBMNAG20、16、12、10が3コ
トップはないけど・・・
とうとう日本のルアーロッドの定番、フジのSiCガイドから決別する。以前からネタには挙げていたフジの逆輸入品・アルコナイトガイドを使おう。最強のハードリング、アルコナイトガイドについてはこちらをご覧いただきたいが、ビッカースかたさ以外ならSiCと遜色ないレベルだから心配いらない、というのが管理人の読みで、これも実験を兼ねている。ただ、トップガイドだけはSiCにするつもりだ。長さを詰めるから、パイプ径を現物合わせする必要性があって、そのためだけに逆輸入なんかする気にならない、それならトップだけSiCを国内調達すればいい、って発想だ。
リールシートは特殊なのは採用しない。
上はTCS-17Dで下がTCS-16Dだね
17のロングナット作戦はKDPS17に20の標準ナットを組み合わせればいい
フジのTCS-16Dを使う。そして、4号メッキ殺で先行試作したKDPS16と18標準ナットを加工した、管理人オリジナルのロングナット仕様にする。もち、トリガーなしの「ネオ変態リールシート」なのは当然のこと。やはり、右手のグリップワークを優先したいから。
グリップはさすがにちょっとヒネりたくなったので・・・
これはラミグラス製だ
研磨してない、俗に言うアンサンド仕上げだね
カーボングリップを今回は採用する。ライギョ竿らしくない、というのがその理由だね。フライライギャー「Falco」ではマタギのカーボンケブラーパイプを使ってみたが、このパイプは結構重く、予想以上の重量増を甘んじなければならなかったし、カーボンケブラーなのは表面だけで、中の層はただのカーボンパイプだったから、こんなのはカーボンケブラーとは言うものの見た目だけのお話しだ。で、今度はブランクと同じラミグラスのカーボンパイプを仕入れたので試してみる。肉厚がちょっと薄いので軽いけど、手荒な扱いをすると割れてしまうかも?あと、端切れのEVAも用意しておこう。そう言えば、「Falco」ではブランクのカサ上げに「カーボンアーバー」なんて部材を使ったのだが、今のところ管理人の周辺では取り扱っているところがない。なので、テープでカサ上げするか、それとも、東急ハンズで2液混合の硬質発泡ウレタンを仕入れて「自作ウレタンアーバー」にトライしてみてもいいかな?と思っている。鉛筆の芯でも削って粉にして、それを混ぜたら「カーボンアーバー」やからね(笑)
今回は珍しくメタルパーツを使ってみよう。
あまり品揃えがないので、フジ製なんかを選択・・・
旋盤があるのでわざわざ買う必要はない?いや、現状だと、アルマイト処理する環境がないし、塗装だとどうせ剥げてくるから素直にメタルパーツで行ってみることにした。
超ショートロッドだから可変バランサーは要らないよね。
これは別に必要ないけど・・・
でも、フジのギンバル&ギンバルキャップだったりする(笑)これは完全に飾りだ。ジギングロッドへの予防線、なんてのは一切ない。船酔いする人だから。
あとはスレッドかな?でも、これはいつも通り悩ましいから、グリップができてから考えよう。超ショートロッドだから飾り巻きをするスペースもないし、やりたくてもヘタクソなので格好悪いからやめておき、マイクロドライプリンタに頼ることにする。
やはり、なんといってもビルドの部材があまり売ってないのである。これってめっちゃ厳しいのだ。名古屋のビルダーの人ってどうやって仕入れてのかな?気になって仕方がない。部材のネット通販なんかやってられんし、この調子だと、今後もかなり難儀することが予想されるだろう。そのためだけに大阪に帰るのも、ちょっとねぇ・・・
それでは次回、特殊攻撃雷魚竿「南山・蛇頭殺」実作業編に続け!(2007/5/14更新)