ガイドについてのエトセトラ
補足事項で予告していたガイドについての考察を進める。課題は、Fuji・SiC以外の選択肢があるのかどうか?実は、これがあるねんなぁ。
真ん中はいつものMNSGだが、左のはNSG?ちょっと違うような
右に至っては黒フレームのMNSGなんか無いはずだが・・・
ライギョ竿と名乗っている限り、Fuji・SiCガイド以外を採用していることは通常あり得ない。 まず、日本では富士工業が独占的に市場をコントロールできていること、次に現時点ではSiCがガイドリング素材としては最適なことが挙げられる。特にPEラインを使用するライギョ竿においては、PEラインの特性上、滑りや放熱性、耐摩耗性を考慮すればSiC以外の選択肢は通常考えられない、というのが一般的意見。ハードリングやゴールドサーメットだと削れて溝が掘れてしまったり、熱に弱いPEラインを傷めてしまうという意見だ。だが、今のところがロッドビルドにおいてはFuji・SiCガイドがネックになっている部分もある。2ピースライギョ竿の製作でも明らかにしているが、その値段の高さ。通常のステンレスフレームでさえあのお値段、チタンSiCに至っては驚くべき法外な価格である。ちょっと安いブランクならガイドの方が高くつくケースさえあるのだから。
ところが、ゲームフィッシングの先進国である米国では少し事情が異なる。Fuji以外にもPacificBayやAmtakといったビルダー総合メーカーがオリジナルの(とは言ってもフレーム形状はそっくりだが)ガイドを市場に投入しており、日本のようにFujiの独占的市場ではない。また、日本ではかなり安いグレードの竿でもSiCを採用しているケースも見受けられるが、米国では最上級グレードがSiCを採用している程度で、それ以外のかなりハイエンドな竿ですらハードリング系を採用している。St.Croixがまさにそれで、最上級のSCVグラファイトモデルのみSiCガイドで、次のグレードSCIVですらハードリング系だ。G-Loomisに至っては、最上級のGLXにRECのリコイルガイドという特殊なワイヤーガイドを採用しているのがある。日本だったらどう考えてもチタンSiCやゴールドサーメットを採用することだろう。質実剛健?それとも市場競争原理?何せFujiですらハードリング系を3種類も市場に投入しているのだから・・・
Material |
Silicon Carbide |
Reinforced Aluminium Oxide |
High Grade Aluminium Oxide |
Aluminium Oxide |
Titan Nitride |
Colour |
Graphite Black |
Polished Black |
Grey |
Dark Brown |
Gold |
Hardness |
2200〜2400 |
1300〜1500 |
1200〜1400 |
1200〜1400 |
1100 |
Specific Gravity |
3.2 |
4.2 |
3.4 |
3.8 |
5.6 |
Heating Conductivity |
0.15 |
0.11 |
0.02 |
0.03 |
0.08 |
Material Strength |
55 |
45 |
25 |
30 |
100 |
Heating Test |
over 500 times |
over 300 times |
145〜200 times |
20〜30 times |
over 500 times |
上の表は豪州・富士工業のサイトから拝借してきたものだが、現時点でFujiが市場に投入しているガイドの機械的性質の一覧。英語のままだとわかりにくいかも知れないが、Material(材質)でAluminium Oxide(アルミナオキサイド・Al2O3)となっているのがハードリング系で、Titan Nitride(チタンナイトライド・TiN)はゴールドサーメットのことだ。Silicon Carbidは説明しなくてもいいよね。この中で黄色のReinforced Aluminium Oxideに注目してもらいたい。コイツが今回の課題その1だ。商品名はAlconite(アルコナイト)と呼ばれている。Hardness(ビッカースかたさ)以外ならSiCに迫るスペックだ。これなら何とかなるのでは、と勝手に思っている。まさしく最強のハードリングと呼べるだろう。上の画像の右の正体はこのアルコナイトのスーパーオーシャンガイドでBMNAGという型番だ。
先に述べた、一般的意見というか単なるウワサに過ぎないかも知れないが、「溝が掘れてしまう」というヤツ、本当はどうなんだろうか?海水での使用、それも投げ釣りなら糸が長いヤスリになるというのはまだ理解できるが、ライギョ釣りでは、う〜ん、ちょっと疑問に思ってしまう。淡水の中にそんなに硬い成分が超微粒子となって浮遊しているってことだよね。でもトップがメインでしかも比重の軽いPEラインだから、影響ないような気がして仕方がない。ヒシの葉っぱにでも超微粒子が付着してたりするのかもね、へへっ。そのうちメインロッドをアルコナイトに変えて、2年くらいのロングランテストでもやってみようかな?
あと、放熱性についても実は疑問に思っている。なんでやねん?それはね、PEラインって組み糸なので水を含むから、その水分で冷却できるんじゃないのかなぁ、ということ。ベイトリールで投げたときに水しぶきが飛び散る、アレのことだ。ナイロンのモノフィラよりもはるかに含水できるからね。最初の一投目は水を含まないから問題があるかも知れないが、アルコナイトのHeating Conductivity(熱伝導性)はゴールドサーメットより優秀で、それこそSiCに迫るくらいだからOKでしょう。ソルトと違って糸を出してのやりとりもないし。
SiC最大の欠点である値段を、わざわざ輸入してまでクリアできるのかという問題についても提示しておく。
SiCなら2ピースライギョ竿を例題にすると、合計¥5,831だ。
一方、アルコナイトだとオーダーしたショップによって若干異なる。今回はCabela'sでオーダーした。他だともう少し安いだろう。
合計$32.82だから、1ドル120円換算だと¥3938.4だ。通常オーダーするときはブランクやらコルクグリップやら大量仕入れのついでにオーダーするので、いくら関税や送料がかかったところでこれなら知れている。ただ、あまりに円が安いと性能を落としてまで逆輸入するメリットが失われてしまう。1ドル120円というのはギリギリで許容範囲だと思う。それ以上に円が安くなるのなら次の手を考えることになる。
それにしても、このアルコナイトってガイドを日本市場で販売してほしいのは管理人だけだろうか?いや、ビルダーならそう思った方もいるはずだ。やはり独占市場というのは競争原理が成り立たなくなるので面白くも何ともない。珍しく自由主義経済万歳と叫んでしまいかけたのであった・・・
もう眠たいから続きはまた今度ね(2006/4/20更新)