「野獣死すべし第1部」は、タイワンドジョウをフライタックルで釣ったところでひとまず区切りだ。これからは第2部、システムの見直しを実施する。 フライロッドやラインシステムの見直しと、もちろん投げる練習も第2部に含めていく。ちなみにこの「野獣死すべし」は3部構成を予定している。 元ネタである、故・大藪春彦氏の小説「野獣死すべし」も3部作だ。図上演習と現状システムでの実験が第1部、2部でシステムの見直しと練習、最後の第3部はカバーブチ抜き作戦でカムルチィを釣って復讐を果たそう。壮大な?計画ではないか。今は亡き大藪氏も、あの世から見守ってくれるのだろうか・・・
まずは竿から見直す。
カバーブチ抜き用のフライロッドなんか当然のことながらこの世に存在しない。マーリン用の15番ロッドでも不可能だ。釣り方が違うから。ならばどうする・・・?。
無いのなら、作ればいい。話は単純だ。通常のフライシステムだと、フライラインとロッドのバランスは重要みたいで、細かく番手が決まっていたりする。9番と10番のシステムにどれだけの違いがあるのかは、弩素人である管理人には全くわからない。しかし、カバーブチ抜きの場合だと、まずは竿ありきだと思う。とにかくカバーブチ抜きに耐えられなければ話にならない。それ以外は、フライラインは切れなければいい、投げるのも遠投しなければいい、くらいの感じで現在のところ構想している。それではロッドビルドといこう。いつもの如く構成部品の紹介から。
手始めにブランク、これがなければ話にならない。そして、フライライギャーの主役でもある。カバーブチ抜き作戦の成否はブランクにかかっていると言っても過言ではないし、その依存度は先に作ったショートロッド「秋水・蛇頭殺」よりもはるかに高いと思う。それだけ重要な今回のブランクだが、St.Croixの4C73XHFを選択している。またしてもセンクロだが、無論センクロのファンというわけではない。手持ちブランクの中で一番最適だったというのが本音かな。本来はバスロッド用のブランクだ。
メーカー
|
種類
|
型番
|
長さ
|
ライン
|
ルアー
|
アクション
|
テーパー
|
バット径
|
ティップ径
|
重さ
|
値段
|
St.Croix
|
バスロッド |
4C73XHF |
7ft3inch |
17-30 |
1/2-2・1/2 |
XH |
Fast |
0.600 |
6.0 |
3.6 |
$165.00 |
「バスロッドでカバーゲームぅ?!」なんて目くじら立てないでね。ちゃんと考えているから。バスロッドとは言ってもエキストラヘビー、それもアルガマスターとあまり変わらない硬さと太さの、バスロッドとすればとんでもないオーバーパワーのブランクだ。池原ダムの巨大なフロリダバスにはもってこいかな?スイムベイト用だとこれより更に強力な4C80XHFなんてブランクも存在する。元々このブランクは「7フィートで200g未満」を目指す、超軽量ライギョ竿計画用に仕入れていた。高弾性のSCIVグラファイト素材で作られており、ブランク自体の重量は実測で90gしかない。片手投げで必要な軽さと、カバーブチ抜きで必要な硬さを兼ね揃えたブランクだと思っている。まぁ、フライロッドとして使えなかったとしても、本来の目的・超軽量ライギョ竿に組み替えればいいことだからね。ちなみに完全1ピースなので持ち運びにはちょっと不便だが、バットジョイントだと重さの面で不利だろう。
バットは塗装がいい加減なので色が変
高弾性カーボンというところに一抹の不安あり・・・
次はガイド、やはりこれも軽い方がいい。要求性能によって選択すべき、そしてその目的は軽さなので、ライギョ竿では採用しないと発言した軽量チタンフレームは魅力的だ。シングルフットガイドも検討に値するだろう。だが、今回は両方とも却下。「秋水」で採用したステンレスフレームのFST&LNSG&MNSGのコンビネーションに落ち着いた。チタンフレームはその法外な値段、シングルフットガイドは不安感が払拭できないのが却下理由。ただ、LNSGも「秋水」だとティップはガイド径10からだったが、今回は軽量化ということで一回り小さいガイド径8からだし、MNSGもバットガイドの20だけ、という様に軽さに的を絞った選択をしている。なので、ヨーヅリのハワイアンフック3号は通せない・・・
左からFST8、LNSG8×4、LNSG10、LNSG12、LNSG16、MNSG20
管理人にしてはオーソドックスな組み合わせだろう
これ以外の特記事項はグリップかなぁ。釣り工房マタギのカーボンケブラーパイプを使う。フライロッドのグリップって何種類かに形状が決まっている様だが、今回はそういうのは一切無視。この世に存在しないカバーブチ抜き用だから、グリップもあり得ない形の方が相応しい、形なんかどうでもええやんか、という思いが込められている。それと、ヘビーソルトのフライロッドで見かけるファイティンググリップを今回は採用するのだが、これもカーボンケブラーにする。万が一、ベイト用に組み替えた時にファイティンググリップがちょうどフロントグリップになるように、と予防線を張っておこう。あとの部材はパイプのかさ上げ用カーボンアーバーやらEVA製ファイティングバットやら、できあいのモノがほとんどだし、リールシートは普通にフジのスピニング用をそのまま使うからサクサク組めるはずだろう。パイプの切断とアーバーの径合わせ、パイプの割れ防止目的でEVAをちょっと加工する程度かな。
上段はカーボンケブラーパイプ×2
真ん中左からカーボンアーバー×4、DPS-SD17、ファイティングバット
下は端切れEVAだ
スレッド巻きは当然のことながらダブルスレッドだ。ただ、軽量化目的?で巻く長さをちょっと考えている。ブランクがキレイなコバルトブルーなので色づかいもそれに合わそう。
さて、お楽しみの竿の名前なのだが、今回のフライロッドは「Falco」(ファルコ)に決定している。もちろん飛行機のことであり、残念ながら元斗皇拳ではない。どんな飛行機かと言うと、
イギリスはRAFミュージアムに展示されているぞ
開発時点で既に時代遅れの複葉戦闘機だから、実は相応しくなかったりする?
イタリアの複葉戦闘機、フィアットCR42「Falco」が元ネタ。格闘戦を旨とする複葉軽戦闘機の名前を採用してみた。前作「Folgore」がイタリア機だったのでその流れでフライロッドはイタリア機だ。そして、近距離格闘戦を前提とするフライライギャーには複葉軽戦闘機の名称が相応しい、というのはこじつけかな?ファルコは英語だとファルコンなので、F-16「ファイティングファルコン」にも繋がるのだが、F-16も当初は重戦闘機に対する軽戦闘機的存在だったから、これでも正解か。でも、実はこっちの方がメインだったりするのだ。
地上滑走、ちょっと浮いているぞ!
ちなみにこれはニュージーランドで復元された機体
帝国陸軍は中島飛行機・キ-43、一式戦闘機「隼」。ファルコ=ファルコン=隼と見事に繋がったぞ。無論、一式戦も零式艦戦と並ぶ代表的軽戦闘機であり、ハヤブサの名前を持つ3機の戦闘機が、洋の東西や国に関係なく軽戦だったのは、偶然の一致なのか、とにかく面白いと思う。正式名称は「Falco・SnakeheadSlayer」、別名「隼・蛇頭殺」にする。今回も帝国陸海軍機を含めることができてよかったなぁ、と一安心している。
それでは次回は、ファルコ・ビルド編だ!(2006/10/9更新)