いよいよバンブーカムルチィ作成編も最終回を迎えることになった。 第一回目は2007年の11月13日にアップしてるから、およそ7ヶ月が経過している。なんでそんなに遅いねん?めっちゃ時間かかってるやないけ??というのはごもっともな指摘だろう。もちろん日常業務との兼ね合い、なんてのもあるし、もちろんのこと、バンブーロッドなんて初めて、バンブー処女だから、というのもある。だけど、言い訳はやめておこう。ただ単に無精なだけやもん。
前回はブランクとグリップまでが完成している。となればあとは簡単、ガイドをつけてしまえばいい。当初の予定だと管理人の標榜するオーバーテクノロジー の象徴として「ベリリウム銅フレームSiCガイド」なんてのを画策しており、実際に試作品までは完成している。だが、いろいろとコメントをつけているが残念ながら却下なのであった。まぁ、冗談みたいなお話しだけど試作品は公開しておく。やるだけやってるのは確かなので・・・
その熱伝導率と強度からヘビーソルトにはバッチリなハズやけどね・・・
なので、今回はクラシカルスタイルに合致する他のガイドを選択することになるのだが、その選択とは・・・
セラミックじゃないよ
ワイヤーフレーム?いや、さすがにその選択は管理人でも有り得ない。カーボロイリングとでも言えばビルダーの方ならご存じだと思う。要するにタングステンカーバイド、管理人の言い方だと超硬合金になるけど、セラミックじゃなくって金属製のガイドリングだ。巷の言い分である、「PEラインはSiCに限る!」なんて理解不能なコメントは一切無視しようね。それはいいけど、カーボロイなんかで大丈夫なん?なんて疑問もあると思う。それについては・・・
超硬合金(WC)とハードリング(Al2O3)のビッカースかたさはほぼ同等だ!
いつもの詳細なデータは記載しないけど、これでいいよね?
ただ、このカーボロイリングは高比重な材質なので、現代のビルドテクノロジーでは過去に置き去られた、忘れられた材質、って感じではある。炭化タングステンが正体だから重いに決まってるよね。でも、見た目はセラミックリング+プレス加工フレームのガイドよりもクラシカルだから、こういった用途やらトップウォーター系バスロッドなんかだとまだまだ使い道があるみたい。いくらクラシカルスタイル、と言ってもさすがにステンレスのワイヤーガイドは採用する気にはなれず、かと言ってプレス加工のセラミックガイドを採用するのもイヤだし、自作ベリ銅フレームSiCは却下してるから、こういった選択にならざる得ないのであった。カーボロイの弱点である重さに関しては、ライギョ竿だから多少の重さは関係ない!と言い切ってしまえばいいから。
そしてこのカーボロイのガイドだけど、アメリカのビルダー総合メーカー、PacificBayの製品を選択している。入手しやすかったのがその理由だ。型番でいうと、
いつものフジガイドのリング径を考慮してそれに近いガイドを選択しただけだから。ただ、トップガイドがリング呼び番号14などと巨大そうに思えるけど、実際は外径10.5mmのリングであり、この14の意味合いは、ティップ径が14/64インチ、約5.5mmって意味だからね。それにしてもティップ径5.5mmなんて相当に太いのだけど、やはりバンブーだから反発力ってのがなく、ライギョ竿を成立させるにはこの程度の太さになる、ってことだろう。
ガイドが決まれば次はスレッド。バンブーロッドに使うスレッドはシルクスレッド、すなわち絹糸を使うのが定番らしい。ブランクの反りを修正するのに完成品を加熱することもあるらしく、その際にナイロンスレッドだとあまりよろしくない、みたいなお話しである。今回のバンブーカムルチィもその線で行こうと思ったのだけど、
ライギョ竿に使うような太いシルクスレッドなんか売ってない!
そう、グデブロッドやらのシルクスレッドってフライロッドに使う細いのだけで、いつものDスレッドに該当する太さ、ってのが存在しないみたい。そしたら手芸用の絹糸でも使おうか、でも、手芸用品店って婦女子の行く店やん。めっちゃ恥ずかしいから、音符に頼んでみよか・・・
・・・・・・
「あのな、ちょっとお願いあるねんけど・・・」
「Gamくん、何かあったのっ・・・」
「いや、手芸用品屋さん行って絹糸買ってきてほしいねん」
「別にそれくらいならいいけど、何に使うのかなっ?」
「バンブーカムルチィのガイドラッピング用やな」
「ふ〜んっ、そうなんだっ、でもっ、いつも使ってるのじゃダメなんだっ?」
「(くそっ、説明するのん、めっちゃめんどくさいやんけ・・・)」
「いや、そやから、かくかくしかじかで・・・・」
「・・・へ〜っ、それでねっ、どんなのを買ってきたらいいのかなっ?」
「グデブロッドのDスレと同じくらいの太さをやな、それで色は赤と薄茶系統と、それに・・・」
「う〜んっ、なんか、難しそう・・・、でねっ、どうしてGamくんが買いに行かないのっ?」
「そんなん婦女子の行く店やんけ、帝国軍人はそんな店には行かへんねんって・・・」
「ねぇ、それじゃぁ一緒に行かないっ?」
「あん?」
「だって、結構注文多そうだしっ、一人で行くのが恥ずかしかったらついて行ってあげるよっ♪」
「香水臭いオバはんがおったら窒息死するやんけ・・・」
「はははっ、そんな人いないってば〜っ」
「・・・」
「ねっ、そうと決まったら、Gamくん、早く行こうよ〜っ♪」
「あぁ・・・」
・・・・・・
「あっ、Gamくん、これっ、すっごくかわいくないっ?」
「うーん、そうやなぁ・・・」
「でもっ、これって自分で作るんだっ」
「ははは、当たり前やん、ここ、手芸用品店やぞ」
「器用じゃないから、こんなのって苦手なんだよね〜っ」
「(ちょっと、まずい展開やなぁ・・・)」
「Gamくんみたいに器用だったらいいのにな〜っ」
「(おいおい、ウチに作れっちゅーんか・・・)」
「ねぇ、Gamくん?」
「どうしたん?」
「試してみるけど、ダメだったら、お願いしていいっ?」
「(あかん、そーゆー言い方やと断られへん・・・)」
「ねぇ、Gamくん・・・」
「ああ・・・」
「きゃっ♪それじゃぁ、あれも買っちゃって、・・・あ〜っ、これも買おっかなっ♪」
「(誰が作るねん、ってウチに決まってるやないか、音符・・・)」
・・・・・・
とにかくこんな具合でロクなことがないのである。そんな中、何とか仕入れてきたシルクスレッドじゃなくって絹糸だけど、
タイヤー印!
赤やらグレーやらとにかく目についた太いDスレッド相当の糸と、アンダーラップ用のAスレッド相当の糸を仕入れてきている。で、ちょっと悩んだ配色だけど、アンダーラップは黄土色でガイドラップは赤に決定した。ただ、この絹糸って見ての通りボビン巻きじゃなく紙の台紙に巻いてるからラッピング時にはちょっと扱いにくいことが想定される。だからボビンに巻き替える方がいいだろう。
シャーペン、じゃなくってケガキ針なのだったりする
あとは適当、高速リサイクラーで・・・
これで準備OKだね
こんな具合で巻き替えてあげよう。こうすればいつもと同じようにラッピングできるからね。そしてラッピングはいつも通りだから省略するとして、アンダーラップのコーティングだけど、
わかる?
ちょっと見にくいと思うけど、結構な感じでボコボコになっているのがわかると思う。コーティングはいつも通りのスレッドマスターだし、それをフツーに塗っただけだからそんなにおかしいことをしたワケでもない。なのに、このボコボコ、この絹糸っていつものナイロンスレッドよりも毛羽立ちやすいみたいだね。これじゃぁ格好悪いからペーパーでならして2度塗り、と言いたいところだけど手抜きが好きな管理人、一度塗りだけで済ましてガイドラップのコーティングと同時にやっちゃうことにした。めんどくさいから。そしてガイドラップは赤スレッドで巻いちゃってコーティングすれば完成なのであった。それでは・・・
結局、日焼け跡は残ってしまった
今回はネーム入れは無し、クラシカルスタイルだもん
全長はおおよそ7フィート3インチあたりかな。だけど、全備重量488グラムはちょっとどころかめちゃくちゃ重すぎ、かなりの体力と気合いと情熱が必要になるだろう。バンブーで釣る!って強い意志だね。
これだけならむしろいい感じ・・・
これもいい感じ出てるよね?
見た目、問題なさそう?が、それはインターネットだからであって都合の悪いことは誤魔化すに決まっているのだ。でも、公開しちゃう、って前にも紹介してるよね?
やっぱ、これはあかんと思うわ
それではリールをつけてみるけど、
いや、でも、いい感じしなくない?
これぞクラシカルスタイル、って感じが出ていると思う。リールは旧ABUシャフトレスだし、竿もリールも見た目とは裏腹にハイテクノロジー満載?の驚異の組み合わせだったりする。あとはこれでサカナが釣れれば何も問題はないだろう。だが、それが一番の問題でもあったりするのだ。果たして本当にカバーブチ抜きが可能なのか???そんなワケで早速試験飛行編と行ってみよう!
2008年6月7日は晴れ時々曇り、といった感じの安定しない空模様だけど、風はあまりないからその面ではいい感じになるかも知れない、などと都合のいいように思いながら10時頃に部屋を出発した。バンブーカムルチィは2ピースだからクルマのトランクにでも放り込んでおけば大丈夫。お出かけにはめっちゃ適しているし、車内に積んでての車上荒らし、ってのも防ぐことができるだろう。どうあがいたって外からは見えないからね。
ほら、こんな感じでライギョ竿が2本もトランクに搭載できちゃうのだ!
今回のラインナップだけど、リールはともかく竿はこのために試験飛行するから当たり前すぎて仕方がないよね。
一応、予備として昨年のメインタックルとも言える、2ピースカムルチィ&Quantumの組み合わせも持って行った。もちろんメインタックルの信頼性が皆無に等しい、ってのがその理由、いずれも試作品だからね。
そしてそれ以外の組み合わせは画像を参照に、
クロークJrだね
えーっと、カエルはクロークJrだけど、だだっ広い野池の場合はちょっと軽いから飛ばんのだけど、まぁ、適当だ。そしてハワイアンフックはベリリウム銅で作った、史上最強の「蛇頭殺ハワイアンフック」を採用している。なんか、これも試作品だし、今回は実戦初投入、ってのが多すぎるような気がする。
カバーブチ抜きのロケーション的にはこんな具合で、
まぁ、この時期だと当たり前やんね
なんの変哲もない、ごく当たり前のヒシ池だったりする。この程度のヒシであれば、想定通りに竿がビルドできたのであれば問題なくブチ抜けるだろう。
竿とリールが実戦初投入であり、特に竿は初めて扱うバンブーロッドだから調子、ってのがいまいちよくわからない。なので、始めは軽く投げて調子を掴むことにしよう。それでは・・・
うりゃっ!
キュイイーン
ボチャ
「・・・いまいちよくわからんなぁ」
それじゃぁちょっと強く振ってみると、
おりゃっ!
ギュイーー
バシャーン!!
「あーぁ、バックラッシュしてるやん・・・」
リリースタイミングや竿の振り方、ってのが普段使ってるカーボンロッドとはちょっと違うような気がする。もう少し乗せるような感じで投げた方がいいのかな?でも、そうすると飛ばんぞ、クロークJrだから40mは飛んでほしいねんけど・・・
竿の振り方やタラシの長さ、リリースタイミングを色々変えながらキャスティングを繰り返す。普段から遠心ブレーキに頼り切っている投げ方をしてるから、タイミングが合わない場合はすぐにバックラッシュしてしまう。
「うーん、慣れんとちょっと難しいぞ・・・」
とりあえずバックラッシュを防ぐためブレーキブロックは4コONの状態にしておこう。飛距離は落ちるけど、これならタイミングのずれは吸収できるだろう。
しばらく練習して、ある程度慣れた時点で実釣に移る、護岸のヒシ池だから一周する、ってことだね。
・・・
歩きながら適当に投げるけど、カムルチィの反応はなく、苦戦することが予想される・・・
・・・・・・
「今日は浮いてないなぁ・・・」
・・・
「あっ、あの枝みたいなん、カムルチィと違うんか?でも、どっちがアタマかなぁ・・・」
密集したヒシのわずかのすきまでちょっと判断に困る状態で浮いていたカムルチィ、いや、この時点では100%の確証はないけど、とにかく狙ってみる。
「目標、30mレンジの浮いてるカムルチィ!」
うりゃっ
キュイイーン
パチャッ
いい感じでちょっと沖、35mレンジに着水した。ゆっくりとリールを巻いて、クロークJrを接近させる。1m手前でいったんポーズ、竿を小刻みにシェイクしながら同時に糸フケを回収、徐々にカムルチィ?に近づいていくクロークJr。
「もうすぐやけど、アタマはどっちや?」
アタマの向きが気になって仕方がない。動いてなく、ただ浮いているだけのサカナだから反転してのアタック、ってのはあまり期待できないような気がする。
「このままやと左側を通過するなぁ・・・」
50センチ、30センチ、10センチ・・・とクロークJrが接近していくが枝らしきものには動きがない。
「これ、マジでカムルチィなん???」
いや、自分の目を信じろ、別名「スネークアイ」の異名を取ってたんやぞ。
ポーズをとってから再起動、微速前進だ。そして、クロークJrが最接近した刹那・・・
「あーっ、逃げやがったー!!」
管理人の目は間違っていなかったし、アタマの向きも正解だったのだが、肝心のサカナに逃げられてしまったのでは仕方がない・・・
・・・・・・
一周したけどアタックに恵まれなかった管理人、二周目は大遠投で決めてやる!なんて感じでカエルをチェンジしよう。
おいおい、めっちゃ巨大・・・
大遠投&超ヘビカバ対応、フィネスのアナコンダを選択した。総重量60グラムにも達するから、ラインキャパのあるリールなら80mレンジ攻略も可能だろう。いくら飛ばないバンブーでも60mレンジはこれでいけそうだ、との予想で投げてみる。
おりゃっ!
ギュイーーーーーン
バッシャーン!!!
いきなりバックラッシュしてしまう。反発力のないバンブーロッドだと思いっきり竿が曲がってしまうから、リリースタイミングをかなり遅らせる必要がありそうだ。それじゃぁ、遅らせて投げると・・・
うりゃっ!
ギューーーーーン
ボチャーーン!
60mは超えたけど、相当な着水音だ。これじゃぁサカナも逃げてしまうだろう。着水前のラインコントロール、サミングで糸のでを止めてしまえばちょっとでも着水音は小さくできる?
とりゃっ!
ギュオーーーーーン
バシャッ
「うーん、なんとか着水音はクリアできそうやなぁ・・・」
クロークJrと同じレベル、ってのは無理だけど、着水前に糸の出を完全に止めてしまえばどうにかなりそうだ。それじゃぁ、これで二周目行こう!
遠心ブレーキは2コONの状態でしばらく投げる。リリースタイミングがずれてバックラッシュすることもあるけど、60mレンジを探ってゆく。
・・・
おりゃっ!
ズポッ
「あれ?穂先飛んで行ってるやん・・・」
フェルールが抜けたのか、でも、はめあいはきついから抜けるとは思えんけどなぁ・・・、なんて考えながら回収する管理人、そして・・・
「ぎゃはははは、おまえはアホかー!!」
大爆笑!
まぁ、見ての通りだ。最強フェルールは問題なかったのだけど、ブランク自体がオス側フェルールの付け根部分で破壊してしまいました。補強目的でベリ銅リングを追加したけど役に立たなかったみたいだね。60グラムものカエルを投擲する、というのも相当竿に負担を掛けているのかも知れないけど、とにかくサカナを掛ける前に折れてしまったのでは意味がないぞ。
さて、計画通りに行かなかったバンブーカムルチィだけど、例によって気付点をコメントしておく。
こんな具合やなぁ・・。というワケで大失敗に終わった「カバーブチ抜きバンブーロッド」だけど、このまま敗北を喫するのもシャクに障るので手を加えて再挑戦しようと思う。名付けて、
復活のバンブーカムルチィ改、いつになったらできるねん?
こんな感じで次回のバンブーカムルチィ、期待しなくていいけど、くそー、ウチは負けへんぞー!!(2008年6月15日更新)