またちょっと、ABUリールについて少しだけ。
ライギョ釣りをやってたらABUのリールって切り離せない、そんな感じなのかな。オールドはともかくとして現行ABUなら安いし、PE10号のスタイルなら飛距離だってダイワやシマノのリールと大して変わらない?いや、ABUの方が飛んだりもするし。改造する楽しみだってあるだろう。そんなこんなでライギャーリールのスタンダードであるABU6000番、「現行とオールド、どっちが好き?」と聞かれたらどう答えるだろうか?管理人はオッさんだから「チョボなしクロムメッキのフレーム」や「盛り上がりのないハンドル側のカップ」、「スプールキャップはハンドルの反対側」というスタイルが趣味な人なので、オールドファンということになるのだろう。ただ、何回も述べるが旧ABUの左ハンドルは5001Cしか存在しない。なので、前回の 「ABU 5001C改・カムルチィチューンStage-2」はそこに目的があった。ないものは作れ、と。で、今回の「旧ABUシャフトレス」なのだが、正直言うと、そこまでの差し迫った必然性は存在しない。でも、わざわざシャフトレスにする理由、それは「可能性への挑戦」ということにしておく。「技術的興味」でもいいかな。まぁ、「6501CSロケット」が国内販売されたとしたら、ちょっと微妙ではあるのだが・・・
能書きはそれくらいにして、実作業の紹介だ。
準備するものから・・・
今回の犠牲者たち
それじゃぁ、いつもの通り画像を交えての説明だ。ただ、前回みたいな「ポン付け」じゃないからね。
BigAにする理由はベアリングの受け、これがC型止め輪だから
普通に組むとこうなる
ブッシュが思いっきり突き出てしまって処置なし・・・
じゃまだから止め輪は外してしまえ!
ここは止め輪外しを使わなくてもいいけどね
旧ABUの場合、製造年代によって構造に若干の違いがあるようで、管理人の保有している'80や'81の5001Cだと、止め輪じゃなくて段付きになっているのだ。段付きだと削ってしまわないとブッシュが組めない。なので、今回は止め輪構造のBigAを採用している。でも、すべてのBigAが止め輪なのかは、もちろん知らん。旧ABUだからといってそこまで興味ない、必要もないからね。
フレームはもちろん'87・6001Cを使う。ただ、汚いから洗浄してしまおう。リールのパーツ洗浄って皆さんはどうしているだろうか?管理人くらいになると特殊な洗浄液や装置が出てきそう?いや、一般家庭でそんなもの使いたくても使えん、廃液垂れ流すのか?海部郡のライギョに悪影響を及ぼすだろうが。なので、こんな感じだ。
これでええねん!
洗面台に水を張って、中性洗剤と歯ブラシで洗えばいい、単純だ。どうせリールだ、真水だと問題ないだろう。乾かすのはドライヤーで十分だし、エチルアルコールを薬屋から買ってきて、それをウエスにしみ込ませて拭けばいい。アルコールだから水分と一緒に揮発してくれる。ただ、火気厳禁やぞ!
次に行くぞ、
フレームやレベルワインド周りを洗浄して乾かしたら注油してから組もう
右カップが終わったら、ハンドル側に取りかかろう。シャフトレスにするには、ギヤを丸ごと入れ替えてしまえばどうにかなる。でも、ハンドル付け根の盛り上がりがない旧ABUに取り付けるのだから、普通に組むとクリアランスが確保できないので、全然ダメ。ここからがいよいよ本番、リールジャンキーの本性を発揮しよう・・・
ハンドル側は結構な改造をするので、とりあえず比較だ
左がBigAで右が6001C
ギアやドラグが全然違うので普通では組めない
特にピニオンは、受け溝が違うからダメ
6001Cのピニオンは旧ABUのハイギヤに近い構造だね
とりあえず6001Cピニオンをシャフトに通してみる
シャフトとはガタがあるが、ストッパー部で受けるので気にしないことにする
なので、ストッパー部をペーパーで削ってピニオンとはまるようにしておこう
シャフトとピニオンのはめあいがOKであれば、次は本体側のピニオンの受けている部品(名前知らんねん)を入れ替えてやろう。結構難しいぞ。
赤で囲った部分、6001C用は幅が広いので入れ替える
これも赤で囲った部分、銅の止め輪がちょっと外しにくかった
この止め輪は、銅でできているので曲がりやすいのだが、作業スペースがなくてかなり難しいと思う。とりあえずマイナスドライバーで押し出すようにして外した。軸を抜く際は、ねじりコイルバネが効いているので溝が穴に引っかかりやすいから注意しよう。
右が6001Cなのだが、止め輪がない
軸にクラッチ戻しのバネを引っかけて抜け止め代わりにしてる
止め輪を壊したorなくした場合は6001Cの軸を使えばいいから
ピニオン受けを組み替えたら、とりあえず組んでみる
バネが効いてるのでピニオン受けを組むのは難しいぞ!
止め輪をはめるのは楽だが・・・
組み終わったら、実際にカップを組んで空回しして確認するのだが、予想した通り、カップに干渉して全然ダメ・・・、なので、削ることにする。
この赤で囲った部分が干渉するので削ろう
削るのはコイツ、リューターって道具だ
歯医者さんの、金属加工用の大きいのと思ったらいい
これに超硬合金のカッターを取り付けて削る
こんな感じで削ってあげた
さて、もう一回動作確認だ・・・。いや、まだ干渉するやんけ。ハンドル軸にスラスト方向の全く遊びがない。やはり6001Cのカップが盛り上がってるのは伊達じゃないようだね。なので、ドラグワッシャを適当に組み替えて動作確認しよう。
・・・・・・
あかん!どうやっても干渉してるぞ。ここまできて、どないしたらええねん・・・
しゃあない、ギヤを削ろう!
買っててよかった、卓上フライス盤♪
左右の押さえ金はあまり強く固定するとギヤが死ぬからほどほどに
ということは、あまり切り込みを多くできない
だいたい0.5mm削ってあげた
ちなみに、この面が組んだ状態ではウラになるからね
フライス盤での加工後はバリをとってあげよう。それじゃぁ、ドラグワッシャを適当に組み合わせて動作確認だ・・・。うん、OKだねっ♪
組み合わせはこんな感じ
左は5001C純正のハンドル軸とベークライト製のワッシャ
真ん中と右は6001Cギヤとドラグワッシャ
ノーマルは削った面にも大きいワッシャが入ってるのだが、今回は省いた
それでいいのか?
ギヤ周りがすべて決まってカップが組めたら、シャフトやスプールを取り付けしてみよう。
スプールはすきまだらけだし、ブッシュは思いっきり突き出てる・・・
ちなみに、今回ハンドル側のスプールキャップのベアリングと、その上のキャップは残している
止め輪は外したけどね
全然ダメダメなのである。スプールとフレームのすきまがどれくらいなのかというと・・・
だいたい3.5mm程度か
すきまがわかればシャフトを短くすればいい。なので、今度は・・・
またまた買っててよかった、卓上旋盤♪
シャフトはもう少しチャックでくわえて突き出し量を少なくするのが本当なのだが、ストッパーが邪魔で無理なのだ
あとは削って現物あわせを繰り返せばいい。なぜ現物あわせ?「旋盤って目盛りがあるから、寸法通りちゃんと削れるやんけ」なんて言わないでね。ウチの卓上旋盤も卓上フライス盤も目盛りがインチなので慣れるまで理解できんのだ。普通の工作機械って目盛りはもちろんミリだからね。
とか何とか言ってる間に加工も終わったので、もう一回組んでみよう。
削ったのは左側だ
うん、いい感じだね
さぁ、ようやく完成だ。やはり、オモチャでもいいから工作機械があると便利なことこのうえない。なので機械導入は大正解!ってことにしとこう。
それでは完成品の公開だ
画像だと、ぱっと見でちょっと違いがわかりにくいかな?
風俗のお姉ちゃんみたいに露光オーバーやし、
これに太PEを巻いたらわからんやろなぁ
'05・6501Cスプールだとわかりにくいから、こんなことをしてみたりする・・・
これだと違いがわかるだろう
穴あきスプールの旧ABUってどんな感じかな?やっぱり変?
Newレコードのスプールを組んでみた。Newレコードのスプールにはワンウェイクラッチが入っているので、左ハンドルと右ハンドルでは互換性がない。回転方向が逆だからね。ちなみにこれは右ハンドル用だ。おい、なんで「永遠の左ハンドルベイト使い」の管理人が右ハンドル用を持ってる?いや、実は、でんでんまるさんが検証用で借してくれたのだったりする。感謝、感謝♪。なので、「Newレコード徹底検証!」もやるからね。
最後はやはりこのアングルだろう。
盛り上がりのないフラットなカップと穴あきスプールが新鮮さを醸し出す
そんなワケないやろ!
管理人の大いなる自己満足「ABU 5001C BigA改・シャフトレススプール」、いかがでしたか?これで「旧ABU&PE10号で実飛距離70m作戦」は反則かなぁ?あとはアルミのフレームじゃなくてクロムメッキのフレームにしたいのだが、ということは、ヒミツ姉ちゃんの必殺技「フレーム外し」か・・・
今年のPE10号クラスはこれで決まり、と言えばそうではないのだ。果たして何を考えてるのか?実はPE8号クラスのリールなのだが、この娘をベースに「ギャラクティカファントム」なんてのを・・・
「それはファントムちゃうやろ!」なんて指摘は無しね
PMA35SLもファントム系なのは間違いないのだから
ゼロレベルワインドの効果はいかに?幻の左フィニッシュブロー「ギャラクティカファントム」が降臨するのはいつの日か?!次回のリールチューンをお楽しみに!
(2007/2/12更新)
おまけ
最近のABUと旧ABUではコグホイールの互換性がないのはご存じだと思う。歯数は同じなのだが、最近のABUは山が微妙に細いのだ。5001C純正コグホイールに'05・6501Cスプールのギヤだと、噛み合いがおかしくなって結構な音がするのでコグホイールも交換している。ただ、最近は止め輪じゃなくてはめ込むだけになっているのだが、壊さないと外せないの?と思った人もいると思う。なので、管理人のやり方を紹介するので参考にしていただければ嬉しく思う次第です。
軸の周りが盛り上がっているが、コイツが引っかかって外れないのだ
なので、カッターで切ってやればいい
上手く切ればこんな感じだ
戻すときは止め輪で止めればいい
ガンナーとかのスプールギヤとB-Trapの組み合わせでもいいかな?