「そしたらグリース編の最後、銘柄の巻をやるぞ」
「うんっ、オイル編と一緒で、入手できるグリスの紹介だねっ」
「方針はミキの言うとおりで、入手性を考慮した選択、これはもちろん現実世界での出来事やから」
「それでねっ、Gamくんはどんなグリス使ってるのっ?」
「ウチ?」
「うんっ、オイルはホームセンターで売ってる安いミシン油、って言ってたし、グリスは・・・、紹介してたフッ素グリス以外だとどうなのかなっ、って」
「通称『ふっ素グリースK』以外か?」
「え〜っと、・・・『クライトックス』ってフッ素グリスだっけ」
「それ以外は適当に使ってた、前の時間でもコメントしたとおりで、巻き取りの軽さをグリースには求めてないからな」
「・・・」
「具体的に言うと、大昔は単車屋で売ってたモリブデングリース、次がホムセン扱いのシリコーングリースで、その次がちょっとまともなシリコーングリースかなぁ・・・」
「Gamくん、そのっ、ちょっとまともなシリコングリスって?」
「・・・そっから行く?」
「ねぇ、そうしようよっ」
「そしたら・・・
放置プレイするとな、期限切れる・・・
いつものコトじゃんっ
モノ自体は『信越化学工業』の『G-501』って樹脂用のシリコーングリースやねんな」
「樹脂用なのっ?でもっ、リールだから金属にも使えないと・・・」
「ミキは今までにシリコーンの潤滑油やらグリースについてコメントしたことって覚えてる?」
「うんっ・・・、鉄と鉄との潤滑がダメで樹脂の潤滑にはいいんでしょっ?」
「鋼以外の金属の軽負荷潤滑にはいける、ってのも言ったと思う・・・、この『G-501』は汎用品のシリコーングリース、信越の場合『G-30』シリーズや『G-40』シリーズに比べると、より多種の樹脂に使えるようになってるのが一つのウリな」
他にもあったけど余計なのは削除したぞ
よく見ないとわかんないねっ
「だから、樹脂に向いているシリコングリスの中でも特に樹脂用、って謳っているんだねっ」
「それともう一つ重要なことがあって、汎用品よりも鋼対鋼の潤滑能力を改善してるわ」
「あっ、前に言ってた、鉄にも使えるシリコングリスってこれのコトなんだっ」
「詳しくはこれ見てくれる?
やっぱ単純に鉱油がいいんだねっ
シリコーングリースとしては踏ん張ってると思うけど
左のグラフ、オレンジの線が『G-501』で、汎用品の『G-30M』や『G-40M』に対して良くなってるのがわかると思う」
「Gamくん、このグラフで一番いいのって、赤の線、『FG-721』だよねっ」
「『FG-721』はフロロシリコーングリースで、メーカーによると『シリコーンとフッ素化合物の特色を兼ね備えているため、特に耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性にすぐれています。また、高速高荷重下においても卓越した潤滑性を発揮します。』ってことらしい」
「じゃぁ、やっぱコレが一番よさげだけど、今回はそうじゃないんだっ?」
「例によって入手性の問題があるし、入手できてもフッ素グリースと値段的には変わらん」
「すっごく高くなるっ・・・」
「ちなみに『G-501』の値段やけど、80グラムのチューブは2000円近辺の値段がついてる、もちろんホムセングリースに比べると高いのは言うまでもないけど、データがそろってる、ってのもウチにとっては選定基準の一つやから」
「あっ、そうそう、さっき紹介したデータって、対樹脂性とか鉄の潤滑性だけど、基本的なデータもあるんだねっ」
「そしたら・・・
もしかして、すっごくよくないっ?
シリコーングリースとしてはな・・・
これは見ての通りでトルク特性のデータやな」
「『G-501』を使うと『G-30M』や『G-40M』よりも軽くなるんだねっ」
「但し、汎用品は末尾が『M』やんか、信越の汎用品は末尾『M』以外に『L』と『H』があってちょう度が『ミドル』、『ライト』、『ヘビー』って意味やねんな」
「じゃぁ、ちょう度がちっちゃい場合や大きい場合との比較はわかんないんだっ」
「そんな感じ、・・・最後はこれを見てくれる?
基油動粘度が不明なのが気に食わんが・・・
そうだね〜っ
正直言うと基本的な特性データは少ない」
「ちょう度が306だけど、ちょう度番号で言えばどのあたりなのっ?」
「ちょう度番号2号は265〜295、1号が310〜340やんね」
「じゃぁ、・・・1.5号でいいのかなっ?」
「だいたいそんな感じでいいと思う、そしたら次のシリコーングリースを紹介するわ」
「えっ、まだあるんだっ」
これも期限切れっ?
細かいこと言わんかったら使えるって
「今度は『モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ』の製品で、『TSK5401L*』ってグリースな」
「最後は*なんだっ?」
「このアスタリスクも含めて商品名らしい、それでやな、この『TSK5401L*』のウリは『モメンティブ』によると『耐熱性、耐寒性や水洗耐水性に優れ、また、異種金属間の潤滑も極めて良好です。』らしい」
「耐水性がいいのはリールには良さげだけど、・・・鉄の潤滑については何も触れていないよっ」
「リールでステンレス鋼対ステンレス鋼の潤滑条件って、・・・ABUのハイスピードウインチプラスはステンレスギヤやったけど」
「それ以外は大丈夫、みたいなっ」
「リールの要求性能でシリコーングリースを使うとなると、さっきの『G-501』もそうやけど汎用品よりも潤滑性能を向上したグリースがより適している、ってことで挙げてる」
「・・・」
「ただ、残念なのは『TSK5401L*』には『G-501』みたいな詳細な比較特性が開示されてないのと、あと一つ、値段がちょっと高いわ」
「いくらするのかなっ」
「100グラムのチューブで3000円超えるよ」
「じゃぁ、『G-501』の1.5倍くらいはするんだねっ」
「一応、基本データも紹介しておく」
これもあんまり多くないねっ・・・
シリコーンはこんなもんかな?
「ちょう度は『G-501』が306だからほとんど変わんないねっ、でねっ、実際に使った感じはどうだったのっ?」
「ミキ、どう、っていうのは?」
「あっ、そうそう、Gamくんにコレを聞いてもダメだよねっ」
「巻き取りか?」
「ぷぷぷっ♪」
「そんなもん知らんっちゅーねん!」
「あはははっ、・・・じゃぁ、潤滑性能みたいなものって?」
「そんなん全然問題ないし、・・・あのな、一部で流布してる『シリコーングリースのリール不適合説』なんかデマやと思うぞ」
「そうなんだっ」
「少なくとも、今回紹介したみたいな潤滑性能を向上したシリコーングリースであれば気にする必要はない、というのがウチの見解で、シリコーングリースの使用によって異常摩耗したリールのギヤなんかがあったら見せてほしい、そしたら考え改めるよ」
「・・・」
「ミキ、質問がなければ次のグリースを紹介するけど」
「うんっ、大丈夫だよっ」
「次は『ホムセングリース』で行こうか
手前から奥に、シャーシーグリース、ウレアグリース、リチウムグリースの順番だねっ
ウチはリチュームって表現がめっちゃきらい
潤滑油もそうやけど、コストを考えるとこのあたりって考慮対象になってくるんよね」
「いくらするのかなっ」
「忘れた」
「あ〜っ」
「そんなもん、放置プレイ前に買ったからな」
「じゃぁ、2年以上前なんだねっ」
「その通り、ホムセンでよく見かける『エーゼット』の80グラム入りジャバラグリースな、『エーゼット』のオンラインショップでの値段になるけど、リチウムの万能グリースで267円、ウレアグリースが332円、カルシウムのシャーシーグリースは200円で、シリコーングリースになるとちょっと高くて1000円から2000円するよ」
「シリコングリスはともかくとして、他のはすっごく安いんだねっ」
「ジャバラグリースは見ての通りで未開封品やんね、だから例によってわからん、ってのが実際のところなのと、シリコーングリースだけで言うと『G-501』を入手した方が信頼性は高いと思うし」
「データがわかんないからっ?」
「『エーゼット』のグリースのデータはちょう度番号と使用温度範囲程度しかなくって、シャーシーグリースが1号、それ以外は2号やねんな」
「・・・」
「ただ、釣り具業界扱いのグリースってそれすら不明、耳障りの言い効能書きの羅列だけで適当な値段つけて売ってるやんか」
「Gamくんがいつも言ってる、『欺瞞とハッタリ』ってコトっ・・・」
「そうや、そしたら次行く」
低トルクグリース勢揃い、って感じで
はははっ
「コレはどんなグリスなのっ?」
「これが前に時間に触れたけど、ウワサの低トルクグリースやんか」
「何種類かあるんだねっ」
「『日本精工』扱いの『PS2グリース』に『THK』扱いの『AFAグリース』と『AFJグリース』な」
「『日本精工』はよく出てくる『NSK』でベアリングメーカーだよねっ、でねっ、『THK』ってどんな会社なのかなっ?」
「リニアガイドのメーカーやな」
「???」
「まぁ、知らんやろなぁ・・・
LMガイドSRがリニアガイドのことやぞ
ボールねじとモーターはつながってるんだねっ
製品としてはこんな感じで、黒いモーターの回転を直線運動として取り出すのに使うボールねじがあって、その両横にガイドの役目をするのが名前の通りでリニアガイドな」
「そのっ、ボールねじやリニアガイドの潤滑用にメーカーが用意してるグリスがコレなんだねっ」
「純正指定品のグリースの中には低トルク特性を謳ったグリースも存在するけど、これをリールに流用したらどう?ってのがウチの意見」
「意見なんだっ?」
「繰り返すけど、ウチはグリースにそこまで求めてないから、誰か勝手に試してくれ、ってこと」
「Gamくんは実験しないのっ?」
「誰か自分の手と財布を汚してやってほしいと思う、こーゆーのんって金銭的な面で躊躇されるから他人のレビューを参考にするワケやん」
「・・・」
「もっとも、ウチの手元にあるリールでこの手の評価対象になるのは10年前の'04ステラ1000しかないから、今更って感じもするし」
「・・・」
「話し戻そうか、ミキ」
「・・・うんっ」
「まずは『PS2グリース』・・・
プレイステーションと違うからな
ゲームのお話しなんてしてないよっ
データはこれ・・・
Gamくん、ちょっとちっちゃくないっ?
老眼向けのイヤミやな
ここで見てもらいたいところがあって、まず、基油が『合成油+鉱油』になってるけど、ここでの合成油はエステル油やな」
「じゃぁ、ダメじゃんっ」
「ついでになるけど、これも見てもらえる?
化学合成油+化学合成油やぞ、こんなん
最初のがエステルなんでしょっ
ネットを徘徊すると処方が変わった可能性が示唆されるんよね、それともう一つ見てくれる?」
ミキ、これの意味教えてくれ
Gamくんがイヤミ、ってコトだよっ!
「Gamくん、英語だからちょっと難しいよっ」
「これは『協同油脂』の『マルテンプPS No.2』って定番の低トルクグリースやけど、『NSK』の『PS2グリース』と同等のグリースになる、誤差を考えると同じでもいい」
「名前もそうだし、英語の意味は難しいけど、数字だけを見ると同じ数字があるねっ」
「まぁ、そんな感じ、で、肝心な値段については『マルテンプPS No.2』に小分けの設定がないから『NSK』扱いを採用したのが理由で、80グラムのジャバラで1000円くらいで売ってる」
「シリコングリスよりは安い、って感じだけど」
「高いと思う?」
「ミキはグリスのお値段って知らないし・・・」
「『エーゼット』と比べるとたいていのものが高く見えるけどな」
「Gamくん、あとねっ、最初に『ボールねじのトルク特性』ってグラフがあるけど、0度以上は一般グリスと変わんないよねっ、これだと普通の温度だとどっちも同じ、みたいなっ」
「・・・気のせいと違う?」
「あ〜っ、それって、すっごく変だよ〜っ」
「基油動粘度の項目を見てくれる?」
「・・・40度で15センチストークスだけど」
「そしたらこれ・・・
昭和シェルのアルバニヤグリースS2のOEMと違うか?
アルバニアとは違うっ?
今度は『NSK』の汎用グリースで『AS2グリース』、これの動粘度って130センチストークスやんか、だから、実際にフツーのグリースと低トルクグリースでは動粘度に大きな隔たりががある、ってことが言いたい」
「・・・」
「胡散臭いか?」
「・・・」
「例の『欺瞞とハッタリ』より正常やと思うけどなぁ・・・」
「って言うか、やっぱ、こんなのってGamくんが実験しないとダメだよっ」
「ウチ?」
「低トルクグリスって言い出したのって、Gamくんなんだからねっ」
「いや、まぁ、それはそうやけど・・・」
「どうするのっ?」
「・・・そしたらこれ使うか」
世にも珍しい?サイレントストッパーの716Zな
改造したんだねっ
「それっ、昔のスピニングリールだねっ」
「Penn716Zな、これの特徴はネジ1本でハウジングのフタが外せる、今のスピニングリールみたいにローター外さんとフタが外せんとか狂った構造じゃないから」
「あ〜っ、すっごく手を抜いてる〜っ」
「そしたら次行っていい、ちゅーか、文句があっても次行く、・・・今度は『THK』の低トルクグリースで『AFAグリース』、
リニアガイドはTHK?
どうでもいいよっ
例によってデータになるけど・・・
高級合成油、ってなんだか面白いねっ
ウチは低俗人間・・・
『PS2グリース』はリチウムグリースやけど、こっちはウレアグリースやんね」
「Gamくん、このグリスも合成油なんだねっ」
「『AFAグリース』はある程度の処方が判明していて、昔のデータになるけど・・・」
スキャナの画像みたいだねっ
PDFフロムUSAやな
「オレフィンだから、ポリアルファオレフィンがベース、でいいんだねっ」
「ポリオールエステルが5%入ってるけど、この程度なら影響ないと思う」
「基油の動粘度が25センチストークスだから、これもさっきの『PS2グリース』よりは高いけど、それでも低い目なのかなっ?」
「これもたいがい低いと思うけどな、あとはメーカー公表の試験データになるけど・・・
試験温度が不明やんね
温度で変わっちゃうもんねっ
こんな具合でVG32の潤滑油並みにフリクションを低減できる、っていうのがメーカーさんのウリやわ」
「『K社製グリース』も『AFAグリース』ほどじゃないけど結構いいんだねっ」
「これな、実はさっきの『マルテンプPS No.2』やぞ」
「『協同油脂』の『K』なんだねっ、動粘度も15.3センチストークスだし、・・・じゃぁ、『I社製グリース』ってどんなのかわかるっ?」
「油脂メーカーで『I』と言えば『出光』と違うか?」
「違うか、って聞かれてもミキはわかんないよっ」
「『出光』の『ダフニー エポネックスアルファ LT』かなぁ」
低温トルクと低トルクって違うのかなっ?
さて、どうだか・・・
「Gamくん、動粘度がちょっと違わないっ?『I社製グリース』は130センチストークスだけど、コレは105.7センチストークスだよねっ」
「『出光』のグリースで動粘度が100センチストークスを超えて、かつ、低トルクを謳ってるグリースってこれ以外に見あたらんのやね」
「そこはGamくん、いつもの適当、みたいなっ?」
「さっきもそんな感じで流してくれたらよかったのに・・・」
「ダメだよっ、Gamくん」
「・・・そしたら次、同じく『THK』の『AFJグリース』で、
ボールねじもTHK?
またっ・・・
いつもの通りでデータを紹介・・・
精製鉱油やと面白くないよね
さっきのが高級だからだよっ
ウレアグリースなのは変わらんけど、基油が違うよね」
「うんっ、精製鉱油なんだねっ」
「エステル油はどうしても受け付けん、ってヒト向けやけど、ただ、鉱物油には注意することがあって、今まで紹介したデータ付きのグリースの中では温度範囲の低温域が高くなる」
「温度が低いとダメ、ってコト・・・」
「まとめてみるけど、
低温域の性能はどうしても化学合成油に劣るなぁ」
「ただっ、前にもお話ししたけど、こんな温度でサカナを釣る?ってコトだよねっ」
「それは好き好き、ウチらはそんなんやらんから適当なこと言うけど、低温特性を優先してのシリコーングリースやら『PS2グリース』って選択肢もあると思うよ」
「・・・」
「そしたら『AFJグリース』の試験データな」
これも温度が不明・・・
なんだかね〜っ
「コレを見ると、さっきの『AFAグリース』よりも抵抗が少ないんだねっ」
「今まで見てもらった試験データはすべてリニアガイドやボールねじに使った場合のデータやんか、だからこれを歯車に使った場合のデータって存在しないから厳密にはわからんのやけど、『欺瞞とハッタリ』で『巻き心地!』ってコメントされるよりも信憑性はあると思う、工業用途やからって過信するのはもちろん間違ってるけど」
「じゃぁ、あとは実際に試してみないとねっ」
「結局、そこに行き着くのか・・・」
「って言うか、Gamくんが躊躇してるように見えるんだよね〜っ」
「ちゅーか、スピニングってさっきも言うたけどめんどくさいもん」
「じゃぁ、ベイトリールでもいいじゃん」
「グリース入れ替えてハンドル回すだけやとアホ臭いと思う、やっぱり数字で比較データを示したいけどなぁ」
「あっ、良い方法が思い浮かばないんだねっ」
「・・・そんな感じ」
「ぷぷぷっ」
「そこで笑うか・・・」
「まぁまぁ、そう言わずに、じゃぁ、また別の機会に考えよっか?」
「ちゅーか、おまえが考えさせとるんやないか」
「あはっ、そうだっけ?」
「・・・たく」
「え〜っと、じゃぁ、低トルクのグリスはこれでいいんだねっ」
「ミキ、値段の話ししてないぞ」
「あっ・・・」
「『AFAグリース』が70グラムのジャバラで800円ほど、『AFJグリース』はちょっと高くて同じジャバラで1200円くらいかな」
「『PS2グリース』に近い価格、ってコトかなっ」
「70グラムと80グラムを考慮せずに言えば『AFAグリース』、『PS2グリース』、『AFJグリース』の順番やな、この程度の金額で買えるのであれば一般の人でも許容範囲?ウチは他人の財布事情は知らんから・・・」
「Gamくんはちょっと違うもんねっ」
「そしたら次はフッ素グリースについてコメントするけど、
あ〜っ、Gamくん、コレって・・・
なにが言いたい?
これは『日本精工』の大気圧環境用クリーングリースの資料の抜粋な」
「あっ、Gamくん、コレなんだねっ、『ふっ素グリースK』って」
「そう、元ネタはボールベアリングの世界的大企業の『日本精工』で、ウチが面白がって『クライトックス』のことを『ふっ素グリースK』って言ったわけじゃない、ってことがこれを見ても理解してもらえると思う」
「でもっ、この資料だと、フッ素グリスって性能的にはあんまりよくないねっ」
「『NSK』の資料やからな、自社製品が良い、ってのはどこの企業でもやることやんか、たとえそれが『欺瞞とハッタリ』でも『NSK』みたいな世界的大企業でも本質的にはそれが商売である以上は」
「じゃぁ、どこかがおかしいとかっ?」
「おかしい、って言うのとは違うかも知れんが、比較対象の『ふっ素グリースK』は動粘度270センチストークス、それに対して『NSK』のグリースは動粘度が低いやんね」
「30とか100センチストークスだからっ・・・」
「そしたら・・・
英語の資料はやめにしないっ?
日本語ないからしゃーないやんけ
『クライトックス』のエアロスペースグレード、要するに航空宇宙向けやねんけど、いろんな『クライトックス』の資料探して動粘度270センチストークスに一番近かったのがこれ、『クライトックス240AC』が該当しそうやわ」
「コレは40度じゃなくって38度だねっ」
「そのあたりはさておき、『NSK』のグリースはリニアガイド用途を想定してる、それに対して『クライトックス』はエアロスペースグレードやから比較とすればちょっと卑怯、って気がする」
「じゃぁ『クライトックス』にもそういった用途に使えるのがある、ってコト?」
「それがこんなの・・・
読んでくれる?
も〜っ、そんなコトばっか言ってる〜っ!
ミキの言う通りで『クライトックス』にもリニアグレードが存在して、これの防錆添加剤入り低動粘度型番が入手できればリール向けフッ素グリースとしては今のところ最高と違うか?」
「じゃぁ、残念だけど、簡単には手に入らないんだねっ」
「その通りやな、『L-15XP』とか入手できたら巻き心地試験してみたいけど、ただ、これならフツーの低トルクグリースでもいけそうやもんなぁ・・・」
「Gamくん、結局、フッ素グリスって使いどころがよくわかんないねっ、お値段も高いんだし・・・」
「強いて言うなら高温特性を生かしてソルト用のドラググリース?ソルトの運用ってどこまで温度あがるのか知らんけど、『L-100』シリーズで290度までいけるから、高温向きと言われてるウレアグリースよりももっと高い温度まで耐えてくれるよね」
「じゃぁ、それ以外ってなにかありそうっ?」
「航空宇宙グレードを自分のリールの潤滑に採用してる、って自己満足!」
「あはははっ」
「一つ気をつけてほしいのが、フッ素グリースなら何でもかんでも航空宇宙、って風潮が一部にあるねんけど、本当はそうじゃなくっていろんなグレードがある、『クライトックス』の場合は紹介した上の表のが正真正銘のエアロスペースグレードで、メーカーの『デュポン』もそれを謳ってて、まぁ、なんしか騙されるな、ってことやね」
「・・・Gamくん、前もそんなコト言ってたねっ」
「・・・正真正銘エアロスペースグレードか?」
「うんっ」
「ウチが前から紹介してるのも『クライトックス240AC』でMIL規格適合品な、でも、これって結局『自己満グリース』なんやろね」
「でもっ、趣味の世界だからっ、そういうのもあるんだよねっ」
「だから『欺瞞とハッタリ』で騙そうとする輩が多いんや、・・・例の『ダイフロイル』の件なんかその象徴的事例やんか」
「あれっていつの頃だっけ、・・・2011年だから、もう4年近く前のお話になるんだねっ」
「あれ以外にも『欺瞞とハッタリ』かましてる輩って探せばいくらでも出てきそう」
「はははっ」
「そしたら話し戻してやな・・・、ちゅーか、もうネタないわ、ミキ」
「じゃぁ、グリス編はこれでおしまいなんだねっ」
「そうしよ」
「Gamくん、『ケミカルについてのエトセトラ』って長かったけど・・・、放置の後に再開したコンテンツって初めてじゃないかなっ?」
「いや、勝手に終わらすな」
「あっ、まだあるんだっ?」
「最初に言うたけど、『ケミカルアタックの巻』が残ってる」
「そうそう、樹脂との相性のお話しだったねっ」
「これはリールに使われてる樹脂の材質やらの話しになってくるから、まぁ、結構難しいねんけど、どうにかしてまとめてみるよ」
「うんっ、じゃあ、次の『ケミカルアタックの巻』を待っててねっ♪」
(2015年3月7日更新)