第2次「ブランク2ピース化大作戦」も無事完了して、これでようやくロッドビルドができる状態になった。ところで、改めて述べるけど、スピニングロッドはよく知らない。いつもの突拍子もないことや、「変態コンセプト」なんか思い浮かばないのである。なので、ビルド編はかなり適当になることを先に言っておく。それでは始めよう。

まずはグリップ編、IPS-16リールシートを採用するのは最初に紹介した。釣具屋さんでバスロッドを眺めてたりすると、結構な頻度で採用されているだろう、ごく一般的なスピニング用のリールシートだ。

IPS-KN16
もう一回、登場させるけどね

だが、このリールシート、よく考えてみなくてもそうだけど、グリップ材を追加工してあげないと使えないのである。

加工図
なんか、めんどくさそう・・・

選択大失敗だね!ただ、だからと言って今更フツーのパイプシートにするのもアホ臭くて仕方がないし、加工済みのグリップ材を買うのも、なんかシャクにさわる。なので、とりあえず、グリップ材を加工してみよう。加工する場所は、

  1. 外径をテーパー加工
  2. 内径を拡大
  3. さらにリールシート合わせ面の形状に切断

結構、めんどくさそうだ。これだと市販の加工済みグリップ材を買った方がいい、とも言えるのだが・・・

内径加工
内径加工の一例

こうなったらオモチャ旋盤を使わざるを得ない。外径は素直にテーパー削り、その後ペーパーで仕上げすればいい。そして内径、これは中刳りバイトで加工するしかなさそうだ。最後の形状合わせ、これはカッターで切るしかないだろうね・・・

で、加工後はこんなの、

加工後
いつものロングナットに直接エンドキャップを付けちゃってるね
あとは、超ショートグリップ、ってことで・・・

まぁ、見た目は問題なさそうに見えるのだが、そんなことはない。ちゃんと問題があるのだ?

段付き
適当だったからね・・・

コルクはストレートテーパーで削ったのだが、リールシートは丸みを帯びている、なので、このように段付きが生じている。削り直す?いや、そんなのやってられない。ここは適当に誤魔化そう!

テープ貼っておく
これでどう?

見ての通り、テープを貼ってカサ上げして誤魔化すのだ。で、もう一回仮組みしてみたけど・・・

修正後
光線の加減がめっちゃいい加減・・・

こうするとかなり修正できるのである。管理人みたいないい加減な人はこれで充分だろう。だが、完璧主義な人には耐えれないと思う。そういう場合は市販品を買おう。当たり前だけど、お金出して買うのだから、ちゃんとしていると思う。

次はガイド編、ガイドレイアウトはごくフツーにフジのニューコンセプトを採用するのだが、竿の長さは5フィートだけど、実は超ショートグリップ、ってのが頭に入ってなかった。ティップからリールシートまでの長さを考えると、5フィート6インチに相当しそうな雰囲気なのである。であれば、ガイドレイアウトも5フィートじゃなくて5フィート6インチを採用することになり、それに伴いガイドも1個増やす必要があった。

ガイドスペック
上が5フィートで、下が5フィート6インチだ

このように、5フィート6インチの場合はトップから2個目にリング径7のガイドが追加されている。SiCガイドであれば「ビルドに強い釣具屋さん」に買いに行けばいい、簡単だ。でも、アルコナイトだから日本に売ってるワケがない、ってコトでブランク再オーダー時にガイドも追加でオーダーしておいた。黒のアルコナイトガイドだから「BLAG7」って型番だ。誰も聞いたことないぞ、こんな型番のガイドって・・・

あと、もう一つ問題?ってレベルじゃないのだけど、

継ぎ竿の場合、ジョイント部をまたいでガイドは取り付けできません

1ピースじゃない竿だとこれは常識問題。もし、ジョイント部にガイドが来るようだとズラす必要があるのは当然のことだ。ただ、シングルフットの「BYAG」ガイドだから、ダブルフットガイドよりもズラす量は少なくて済みそうなのも当たり前っちゃぁ当たり前?

そんなこんなで色々考えた上でのガイドレイアウトはこんなの・・・

スペックその2
適当な絵だけど、真ん中が今回のガイドレイアウトだ

画像上から5フィート標準、今回、5フィート6インチ標準レイアウトの順番。今回は標準よりも若干あけ気味、各ガイド間で1cmほど間隔を開けている。標準レイアウトだと、バットガイド位置がかなり前方だと思えたから。この辺ももちろんのこと根拠と言うか、理屈じゃないのはいつも通りで、ひつこいけれど「野性の勘」なのだ!

あとはガイドを仮付けしてからベンディングテストしてみて、曲がり具合をチェックすればいい。ただ、スピニングの場合は、いつものガチガチのベイトロッド、要するにライギョ竿と同様に、糸がブランクに当たるワケでなし、不自然なベンディングカーブを描かなければあまり気にする必要はないのかな?と思う。柔らかいベイトロッドだとちょっとは気にするけど。なので、画像は省略、いや、撮影していなかっただけだけど。

ガイドレイアウトが決まったら、次はワインディングチェックを作ろう。作る、っていうところに既に怪しさがいっぱいなのだが、前に紹介したけど、

純チタン製ワインディングチェック!

なのである。別に太字にしなくていい?じゃぁ、こんなのはどう?

耐食性に優れたピュア・チタニウム素材を使用した高品位ワインディングチェック採用!

こんな表現だと、ちょっとはマトモに見えるだろうね。まぁ、フジもチタン製メタルパーツを市販してるから、ソルトロッドを組むビルダーの人は気になったら採用してみるのもいいと思う。それ以外にチタンのメリットはない、重いだけだから。いや、実は組むまでは気付かなかったが、ちょとだけメリットがあった。それはあとで述べよう。

ということで、オモチャ旋盤でチタンの丸棒を削るのだ。でもなぁ、こんな旋盤でチタンなんか削らんのが機械常識やねんけど・・・

穴あけ
粉末ハイスのドリルで穴あけ
外径加工はクソ高い、超硬スローアウェイバイト
ホルダとチップで現行ABUなら余裕でお釣りがくるぞ・・・

ワインディングチェックを作る前に色々練習していたのだが、穴あけは問題ない。ちょっとずつ穴を大きくしていけばいいのと、切れ味のいいドリルを使えばいい。外径加工もそんなに難易度は高くなかった。切れ味のいいバイトを使って、できるだけ回転数を落とせばどうにかなる。もちろん仕上げ面は良くないけどね。でも、最後の最後がめっちゃ難関なのだったりする・・・

突っ切り
泣きそう・・・
これもバイトは超硬のスローアウェイ

カタチを削ったら、丸棒から切ってしまわないといけない。旋盤作業ではこれを突っ切りと呼ぶのだが、この突っ切り、オモチャ旋盤だと切削条件的に相当厳しい作業なのである。一般的な被削材の場合でもそんなに簡単には削れてくれないのだけど、チタンは難削材、いくらいいバイトを使っても、バイトが喰い込んで何回も主軸が止まって仕方がない。主軸のパワー不足&刃物台の剛性不足だと思う。だから、切り込みもごく僅かずつしかできないし・・・。これは道具に責任転嫁しても許してくれるだろう。やってみたらわかるねんって・・・

でも、苦心惨憺したけど、何とか完成したぞ!

チェック完成
見た感じはフツーのワインディングチェックなのだ・・・

一見、特記事項がないのがちょっと寂しい・・・

さて、ようやく部品もみんな揃ったし、あとは組むだけ、シングルラップだから速攻でビルドできるのだ。ガイドも少ないし。

・・・・・・

というワケで中間工程は省略して完成したのだが、一つ追加しておこう。コルクグリップの修正だ。コルクを削ると、結構ボコボコと穴が開いてくるので穴を埋める必要があるのだが、それ専用のパテ?みたいなのがある。

コルクパテ
なんかなぁ・・・
コーヒー牛乳?

これは釣り工房マタギで売ってた、コルクペースト、ってヤツ。これを塗りたくって硬化後にペーパ掛けすればいいみたい。昔のビルド教本だと、削ったコルクの粉と木工用ボンドを混ぜる、って記述があったような記憶がある。あとはセメダインの「木工パテA」とか、コニシの「ウッドパテ」かなぁ・・・

木工パテA
これはセメダインの「木工パテA」

これに削ったコルクの粉を混ぜればいいのかな?余談だけど、大阪のオバはんって「セメダイン」じゃなくて「セメンダイン」って間に「ン」を付けて発音してた様な気がする。その方が言いやすいんか?管理人もそれをマネして、ワザと「セメンダイン」って言ってるけど。

さて、本題、今回はそのセメンダインが間に合わなかったのでコルクペーストを使う。

すきま
カッターで適当に切ったから、かなりのすき間が空いてる
なので、ここを埋めてあげよう

塗りたくる
適当に塗りたくる
でも、これは多すぎ、後始末がめんどくさかった・・・

で、硬化したら、ペーパーで削ってあげよう。でも、それだけだと面白くないので、こんなコトをしてみたりする・・・

コルクシール
再び登場、U-40コルクシール!

「秋水・蛇頭殺」で使ったことのある、コルクの黒ずみ防止用、U-40のコルクシールだ。ついでだからコイツを塗って今回の作業は終わりだね。

・・・・・・

では、ここで一気に完成品の紹介までいっちゃおう!

橘花・蛇頭殺
やっぱ撮影ヘタクソ・・・

いつもと違って特記事項はないから、グリップなんかどう?

超ショートグリップ
超ショートグリップのくせに、ロングナットやらBRC22バットキャップがライギョ竿の証明だ

コルクの修正は見た目まともそうだけど、実際には・・・

そしたら、次はネームなんかどう?

ネーム部
ちょっとゆがんでるよねぇ・・・
性格そのままなのだ!

ほんなら、この竿のウリ、自作印籠継ぎなんかどう?

印籠継ぎ
継ぎ部のスレッドは黒
ガイドラップはNCPじゃなくてフツーの赤いナイロンスレッドにパールホワイトのトリマだね

完成した継ぎ部の嵌り具合なんかはどう?

継ぎ部その2
ちょっと間隔が狭いかなぁ・・・

そうそう、純チタン製ワインディングチェックもお忘れなく・・・

ワインディングチェック
ピュア・チタニウム(笑)
チタンのメリット、それは、一番安い銀色のフードにはチタンの色目がマッチしてるのだ

それじゃぁ、リールを付けてみようねっ♪

Penn
コラ、なんでおまえが出てくんねん、音符・・・
それはいいとして、Pennの716Zなんてインスプールのスピニングを付けてみたけど

めんどくさい、などと発言しているクセに、そこそこ手間をかけてしまっていたのである。いや、アップするのに手間がかかった、ってのが正解だろう。それじゃぁ、これを石垣島に持って行ってコウタイ釣るだけじゃー!いや、その前にサカナを釣って印籠継ぎのチェックはしておこう。何てったって自作だからちょっと心配だよね。

それでは次回はシェイクダウン、「橘花・蛇頭殺」試験飛行が待ってるぞ!(2007/8/28更新)

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