「ねぇ、Gamくん、一つ聞いていいっ?」
「なに?」
「ほらっ、先月号でケミカル編の続きをやる、って言ってたけど・・・」
「・・・」
「Gamくんっ?」
「だから、なに?」
「ひょっとしてっ・・・」
「・・・例によって放置プレイしてる、って言いたいんやな」
「そういうワケじゃないけど・・・」
「ウチが工作室でいろんなことやってるのは知ってるやんね」
「なんかっ、テーブルの上にオイル垂らしてみたりっ、あと、水の入った容器にもオイル、垂らしてたっけ・・・」
「動粘度なんか測定できへんから水平面に油垂らして拡がり具合で判断しようと思ったのと、あと、エステル油がホンマに加水分解するか実験してた」
「じゃぁ、アップするのには、もうちょっと掛かる、みたいなっ?」
「とりあえず油の仕入れは終わらせるよ、例によって収拾つかんようになってきたから」
「いっぱい買っちゃったんだねっ」
「組成が判明してる油メインやけど、そしたらこれ、ちょっと見てくれる?」
Gamくん、ちょっと見づらいねっ
グラフをクリックしたら別窓で拡大画像見れるようにしとく
「このグラフは、もちろんGamくんが作ったんだよねっ」
「そう、ウチが仕入れた油の動粘度-温度チャート、詳しいことは本編でコメントするけど、縦軸が動粘度で横軸が温度やねんな」
「うんっ」
「それで、グラフの傾斜が緩いのが粘度指数の高い油でオールシーズン向け、ってことやね」
「このグラフの真ん中あたりの黒い線って、Gamくんが本編で言ってた40℃と13センチストークス、ってことなんだねっ」
「そうそう、せやからウチらがリールの運用で注目するのは基本的にこのグラフの左上の領域、ってことでいいと思う」
「基本的に、ってコトは例外もある、みたいなっ?」
「ミキ、これ以上は本編でコメントさせてほしいぞ」
「あっ、そうだったねっ」
「まぁ、具体的な銘柄はこんな感じになるねんけど、もう一つ資料、見てくれる?」
これもクリックしたら拡大するようにした
ぷぷっ、色々気を遣うんだねっ
「Gamくん、この表って、・・・リールオイルの動粘度でいいのっ?」
「これはネットで拾ったけど、ガイジンさんが作ったデータやねんね、単位が違うやんか」
「温度もそうだしっ、動粘度もセンチストークスじゃないよねっ、コレっ」
「アメちゃんやから摂氏じゃなくって華氏、ファーレンハイトのエフのことやな」
「『ふぁ〜れんはいと』っ・・・」
「華氏の華とか摂氏の摂は当て字な」
「『ふぁ』じゃなくって中華の『か』だよっ」
「気にするなって、・・・そしたらミキに質問するけど、華氏がファーレンハイトやったら摂氏ってなに?」
「何って聞かれてもっ、ミキ、知らないもんっ・・・」
「セルシウスのシーが正解やぞ」
「・・・」
「ははは、ウチと一緒におったら勉強になることばっかりやろ?」
「それはそうだけど、でもっ、Gamくんって・・・」
「ミキ、なにが言いたい?」
「前に『AKB48って知ってるっ?』って聞いたら、から・・・何とかの偽モノ、とかって言ってたりするし、普通のコト、全然知らないじゃんっ」
「それ、カラなんとかと違うぞ、『カラシニコフのパチもん』って言うたんや」
「また、意味わかんないコト言ってるっ」
「正解は『アブトマット・カラシニコバ』やねんけどなぁ・・・」
「だから〜っ、全然わかんないよ〜っ」
「ソビエトの自動小銃、『AK47』やんけ、世界的には『カラシニコフ』の方がよっぽど有名やねんぞ」
「だからっ、どこの世界なのっ?、どうせ軍事の世界とか言うんでしょっ」
「・・・」
「ほとんどのヒトにはそんなの関係ないもんねっ」
「ええねん、ウチが関係あるのはカラシニコフやねんから、あと、そいつらガキ連中の件やったらベアリングとか工具鋼とか色々言いたいことあるけどやめとく」
「そうそう、意味わかんないしねっ」
「そしたら意味教えたるわ、ベアリングはミネベアやんけ、知ってるやろ」
「それは知ってるよっ、ミニチュアベアリングのメーカーでしょっ」
「ミネベアの略称は?TD LUNA300LのCRBBに刻印打ってたやん」
「えっ、何だっけっ?」
「 『NMB』やんけ」
「あ〜っ、『NMB48』じゃんっ、そういうコトなんだ〜っ、じゃぁ、工具鋼って?」
「高速度工具鋼は『SKH』にダイス鋼は『SKD』・・・」
「ぷぷっ、それは『SKE48』だねっ」
「全部パチもんや、あいつら、・・・そしたら本題に戻るけど、このデータの温度、38度とか78度、98度は摂氏に直すと3.3度、25.6度、36.7度やねんな」
「それじゃぁ、動粘度の単位もセンチストークスに換算できるっ?」
「うーん、実はなぁ、これ、動粘度と違うねんなぁ」
「えっ、違うんだっ?」
「このデータの『cP』って単位はセンチポアズのこと、動粘度じゃなくって絶対粘度って意味やな」
「それって、どう違うのっ?なんか、同じ様に思うんだけど・・・」
「簡単に言う、絶対粘度を比重で割ったのが動粘度になるわ」
「じゃぁ、オイルの比重がわかんないと換算できないっ・・・」
「ミキ、そのへんは適当でいいぞ、フッ素油でもない限り油の比重って0.8とか0.9とかそんなん、この数字の1割から2割増しが動粘度って考えたらいいと思うわ」
「へ〜っ」
「ただ、この数字の信憑性には疑問があるわ、せやから本編で紹介せーへんのやな」
「・・・」
「具体的に言うと一番上のMobil1の0W-30、これはエンジンオイルやねんけど、エクソンモービル発行のデータシートを見るとこんなん
Mobil1って年代によって若干データ違うねん
ふ〜んっ・・・
この動粘度・・・Viscosityと、粘度指数・・・Viscosity Indexの数値から算出される摂氏25度の動粘度は118.92センチストークスやねんな」
「でもっ、さっきの表だと400センチポアズだから、比重っ・・・」
「比重はDensityやな」
「じゃぁ、0.845で割ったら473センチストークスっ・・・」
「まぁ、そんな感じやねんけど、・・・ただ、動粘度じゃなくって絶対粘度表記なんは粘度計で測定してる様な気がするわ」
「ふ〜んっ」
「このデータってどこかに誤謬が存在してると思う、せやからウチ的に本編で紹介するデータにはならんのやな」
「でもっ、測定してる、ってコトだよねっ」
「たぶんやけどな、だから参考程度に見てもらえればいい、と思って『月刊ダムン!』で紹介することにした、興味深いデータやと思うぞ、具体的にリールオイルの銘柄に触れてるねんから」
「・・・こうして見ると、ダイワのオイルって、結構動粘度って低いんだねっ」
「ピクシーとかTD-Z純正はそんな感じで、逆にフツーに売ってる標準の油は結構硬いとか、あと、シマノのキュラドな、これ、バンタムオイルやと思うけど、ATFと大体同じくらいらしいわ」
「Gamくん、ATFって?」
「オートマチックトランスミッションフルード」
「それっ、わかんないよっ・・・」
「クルマのオートマやわ、変速機の作動油兼潤滑油のことやけど、ISO VGで言うと32から46あたりかな?」
「じゃぁ、VG32だったら使える、みたいな感じでいいのっ?」
「たぶんそうやと思う、・・・そしたら今月号、終わりにするわ」
「じゃぁ、次は本編、『オイルについてのエトセトラ』だねっ」
「本編が早いか、それとも月刊が先になるか・・・」
「ぷぷぷっ」
(2012/1/31発行)