「Gamくん、お仕事、すっごく忙しかったんだよねっ」
「そうやなぁ、2月の終わり頃から3月半ばまで、マトモに休めんかったわ・・・」
「でもっ、今は落ち着いたのっ?」
「うん、ようやく」
「じゃぁ、竿作りとかって、あんまり進んでないんだっ?」
「えーっと、どの辺までやってたっけ?」
「忘れちゃった、とかっ?・・・」
「うーん・・・、ウチの横で喋ってるヤツの名前も一緒に忘れた!」
「ちょ、ちょっと〜っ!!」
「なんや?」
「また、変なコト言うんだからっ・・・」
「ちゅーか、おまえ誰やねん?」
「そんなの、ミキに決まってるじゃんっ」
「へっ?」
「も〜っ、そんなこと言わないでよ〜っ!」
「ははは、これくらいにしとこう、本気で怒らすとかなりヤバいからなぁ」
「Gamくんの意地悪っ!」
「生まれつきやからしゃあないわ」
「じゃぁ、竿作りのお話しだけど、どんな感じなのっ?」
「ガイドが予想外、いや、予想通りなのかな?『ベリ銅フレームSiCガイド』やねんけど、進んでないわ」
「結構、難しいんだっ」
「1コだけ作るんやったらええねんけど、数作ろうと思ったらなぁ、カタチがバラバラになるんやわ、手曲げやもん」
「ってコトは、今回はやらない、ってコトでいいのっ?」
「うーん・・・、あとは材料の関係かなぁ」
「あれっ?ベリリウム銅って、板もそうだし、針金みたいなのも準備してたじゃんっ」
「ベリ銅の線材やな、1.2mmとかもうちょっと太いのが欲しいねんけど、小分けして売ってくれる材料屋さんがないねん」
「そうなんだっ」
「100キロくらいやと売ってくれるわ、せやけどそんなん絶対必要ないやん、クロスロックで使った1.0mm径の線材は10mやからな」
「じゃぁ、ホントに何も進んでないんだっ」
「いや、今はグリップ作ってるよ、それでな、正直言うとちょっと別のことをやってた」
「へ〜っ、それって、どんなコトなのっ?」
「ほんならこれを見てくれるか?」
こんなの作ってたんだねっ
ああ、気晴らしかな?
「これは金属のパイプだよねっ?すっごく穴があいちゃってるけど・・・」
「さて、ほんなら質問、これは何でできてる?」
「それって、材質、ってコトだよねっ?でもっ、そんなのわかるわけないじゃんっ」
「ミキが見ただけでわかったら逆に怖いわ」
「それはそうだけどっ・・・、でもねっ、銅じゃないのはわかるよっ♪」
「ははは、そんな感じやわ」
「じゃぁ、ヒントがほしいなっ」
「ほんなら『感度編』を見てくれ」
「うんっ」
・・・・・・
「え〜っと・・・、『感度編』って、金属だとチタンかアルミ、ってお話しだったよねっ、じゃぁ、これってアルミじゃなさそうだから、チタンでいいのかなっ?」
「惜しいなぁ、微妙に外してるわ」
「え〜っ、でも、それ以外の金属って、出てこないじゃんっ」
「せやから微妙やねんって、正解は高張力チタン合金、『64チタン』が正解やわ」
「へ〜っ、これがGamくんがよく言ってる『ろくよんちたん』なんだ〜っ」
「そう、コメントばっかりやったけど、初登場やな」
「あのねっ、『感度編』ってグリップとかのお話しだったよねっ、でも、これってパイプに穴をあけただけじゃんっ、どうするのっ?」
「まぁ落ち着いてくれ、これから紹介するわ」
よくわかんないねっ
やっぱりわかったら怖いわ・・・
「これは何かなっ?」
「フジのパイプシートのフードをバラした」
「わかんないよっ・・・」
「ほんなら・・・」
Gamくん、まだわかんないよっ
本気か?
「???」
「やっぱりムリか、じゃぁこんな感じで・・・」
へ〜っ、こうなるんだ〜っ
こうなるんじゃー!
「あっ・・・」
「これでわかったやろ?」
「うんっ、それでねっ、さっきのフードだっけ、こんな簡単なのでリールって固定できるのっ?」
「ははは、昔からウルトラライトのスピニングロッドってこんな固定するヤツもあるねん、『テネシーハンドル』って言ってたわ」
「『てねし〜はんどる』・・・」
「そう、パイプシートにしたら重くなる、って感じと違うやろか?もちろん固定強度はパイプシートの方がいいに決まってるけど、この上からテープ巻いて補強するねん、そしたら問題ないと思うわ」
「じゃぁ、これはウルトラライトって言ってるくらいだから、ライギョ用じゃないんだねっ」
「ウルトラライトのスピニングやと『管釣り』とか『メバル』用にするのがフツーやと思う・・・」
「あれっ?Gamくんってそんな釣りって、したっけ?」
「ミキの言うとおり、ウチはその手の釣りはせえへんよね」
「それじゃぁ、どうしてなのっ?」
「これも『能書きだけじゃない』ってコメントの一環やわ、せやから実際に『64チタン』のグリップ作ってみたねん」
「えっ、それだけなのっ?」
「うん、その通りやけど、一応、『世界初やぞ、64チタン穴あきグリップパイプ採用テネシーハンドル!!』ってことにしとくわ」
「やっぱ、よくわかんないっ・・・」
「いや、めっちゃ簡単やん、『世界初!』って言うてみたかっただけ!」
「ううん、ただ単純にそれだけなんでしょっ、使うかどうかもわかんないのに作っちゃうなんて・・・」
「ははは、何でもそうやけど、やって見んとわからんってことがあるやん、ウチの口癖みたいになってるけど」
「・・・」
「それでな、今回試しに作ってみたけど、何点か判明したことがあるねん」
「それって、どんな感じかなっ?」
「まず、『64チタン』のパイプやけど、めっちゃ入手しにくかったわ」
「でもっ、ここにあるのって・・・」
「これは特注で作ってもらった、『巻きパイプ』ってヤツで『64チタン』の薄板を丸めて溶接してパイプにしてるねん」
「ふ〜んっ・・・」
「次やけど、『感度編』では市販のチタンパイプにもちょっと触れてるよね、で、今回の経験から言うと、やっぱり純チタンやと思う」
「それはどうしてなのっ?」
「値段が全然違うわ、外径15mmの長さ500mmで税込み価格3675円やけど、『64チタン』はそんな安くない、ちゅーか、めっちゃ高かった」
「じゃぁ、どのくらいしたのっ?」
「今回は外径20mmの長さ500mmやったけど、特注やから高い、ってのもある、具体的金額には触れんことにするけど、『ステラ』をフツーに買うよりは安い、って感じかな」
「・・・」
「フツーの考えやとそんな金額は非現実的やからグリップなんかには使わん、いや、使えんと思う」
「でもっ、Gamくんって・・・」
「その通り!ウチはフツーじゃない、変態ライギャーやから何でもありやもん、で、あとは『Falco』で使ったカーボンケブラーパイプよりも軽くできるのかな?」
「それは穴をあけちゃってるからっ?」
「外径が小さい、ってのもあるわ、あのパイプやと190mmで30グラムやけど、今回のは穴あけた状態、205mmで27グラムやから、パイプシートの重さ、ってのも考慮すると意外と軽くできそうかも?」
「『感度編』だと、軽くするのって重要、ってお話しだったよねっ」
「そうやね、軽くて低減衰率なら文句ないやん」
「それでねっ、穴をいっぱいあけちゃってるけど、大丈夫なのっ?」
「強度か?穴をあけんでもいいなら純チタンでも問題ないけど、『64チタン』やと穴あけした状態でも強度を確保できる、高張力チタン合金を採用したのはダテじゃないから、それと穴あけしてるのは滑り止めも兼ねてるねん」
「へ〜っ、そうなんだっ」
「あと、気になるのは金属のパイプを直接触ることになるけど、『夏は熱くて冬は冷たい』って感じになりそうな気がする」
「コルクとか、スポンジみたいなのよりも、ってコトだよねっ」
「そう、チタンの熱伝導率は低いけどやっぱり金属やもん、この点については『夏は蓄冷材、冬はカイロ作戦』で行こうと思う」
「それって?」
「バランサーの代わりに小さいカイロとか蓄冷材をバットエンドに入れとくねん、そしたら一石二鳥やぞ!」
「ぷぷぷっ、なんか、ハイテクっぽいけどすっごく原始的、みたいなっ」
「ははは、そのアンバランスさが『アホテク』の証明やわ、そしたら今月号は終わろうか、実のところ完成がいつになるかはわからん、他にもやることいっぱいあるから、ちゅーか、ホンマは去年の夏くらいから手配しててずーっと放置プレイ、いや、もしかしたらこれからも放置プレイかも?」
「Gamくん、いつものコトだけど、手を拡げすぎだよっ・・・」
(2008年3月24日発行)