「Gamくん、最近ってサカナ釣ってるのっ?」
「うっ、何をいきなり言い出すねん・・・」
「だって、釣った、って話し全然しないじゃん」
「ようやく機嫌直ったって思ったら、次はコレか・・・」
「えっ、聞いちゃダメだったのっ?」
「いや、あかんコトないけどなぁ・・・」
「じゃぁ、聞いてもいいんだねっ♪」
「今度は音符か・・・」
「結局どうなのっ?」
「うーん、釣ってない・・・」
「 あれっ?でもねっ、毎週1回は釣りに行ってるじゃん、それなのに釣れないんだっ?」
「はいはい、ウチは超弩級のヘタレですから釣れませんって・・・」
「それでねっ、この近所で釣りはしてないよねっ?」
「ああ」
「どうしてなのっ?」
「オープンエリアでサカナがおる場所探すよりも、ヒシ池とか探した方がウチの場合は手っ取り早いのかな」
「そうなんだっ、でもね、ライギョ釣る目的で海部郡に引っ越したんだよねっ」
「その通り、でも、なんかちょっとなぁ・・・」
「難しいんだねっ」
「この辺ってエリアが広すぎて絞り込まれへんのやな、そやから、単純にヒシ池見つける方が簡単やと思う」
「それじゃぁ、どの辺に行ってるのっ?」
「そうやなぁ・・・、静岡に行ったのは言うたよね、今は知多半島とか回ってるよ」
「静岡って遠そうだけど、知多半島だとそんなに遠くないよねっ」
「先っちょの方はちょっと時間かかるかな?でも、武豊とかあの辺はまだマシやわ」
「『たけゆたか』・・・?」
「そうやん、競馬の騎手と同じやぞ」
「・・・Gamくん、それって『たけとよ』って読むんじゃないのっ?」
「あん?ミキ、おまえ何言うてんねん、ウチは前にも名古屋に住んでたことあるねんぞ、ウチがなんも知らんと思うな」
「え〜っ、Gamくんが間違えてるんだよ〜っ」
「デタラメばっかり言うなって、ホンマに・・・」
「絶対Gamくんが間違えてるよっ!」
「えらい強気やなぁ、ほんならネットかなんかで調べりゃいいんでしょ・・・」
・・・・・・
「うっ・・・」
「やっぱり『たけとよ』で正解じゃん」
「・・・」
「どうしたのっ、Gamくん、間違えてるじゃん♪」
「・・・ごめんなさい」
「ミキの言うこともちゃんと聞いてよねっ」
「いや、普段がデタラメやからなぁ、『狼少年』って感じかな?」
「も〜っ、またそんなコト言うんだからっ!」
「ウチが脳弱いのをまた証明したからええやん」
「また、よくわかんないよねっ・・・、それでねっ、その、ヒシ池って結構あったのっ」
「うん、ヒシ池やらハスやらカバーの池だけやったら結構見つけた、25ヶ所くらいかな」
「でもっ、サカナは釣ってないんだっ・・・」
「ああ、サカナの気配を感じんと竿出さんからなぁ、やっぱりそれよりも『場所を回る』ってのを優先してるから、で、結局、サカナの姿を見たのが4ヶ所やわ」
「それって、すっごく少ない、ってコトだよねっ」
「気配を感じてない所でも竿出せばアタックはあるかも知れん、でも、それは来年のお楽しみにしようと思ってる」
「じゃぁ、1日中場所探しだけで釣りをしなかった、って場合もあるんだねっ」
「そうやな」
「そんなのでいいのっ?」
「なんでや?」
「だって、せっかく行っても釣りしないんでしょっ、そんなの面白くないと思うんだけどっ」
「優先順位、ってのがあるやんか、今は場所探しが最優先、お楽しみは先に取っとくねん」
「ふ〜んっ・・・」
「それだけじゃぁ面白くないから、『場所探し中の出来事』って感じで行ってみよか」
「色々あったんだっ?」
「うん、ヒシ池での出来事やねんけど、そこの池はカムルチィじゃなくてブルーギルばっかりやってんけど、小学校低学年の男の子とおばあさん、って言うても50歳くらいかな?、その2人がギル釣りしててん」
「・・・」
「ウチはギル釣り得意やったから、ちょっと気になって見てたんやけど、エサ食うねんけど釣れへんねん」
「・・・」
「針とかエサが大きいし、かなりウキ下が深かったんやわ、せやからウチがその子にギル釣り教えたねん、一番小さい針にして、ウキ下はもっと浅くしてエサも小さく付けるようにした」
「それで釣れたのっ?」
「あのな、ウチは元『日本ギルプロ協会』の名誉会長やからな、ウチが教えてからはギル釣れるようになったぞ」
「そうなんだっ、でも、Gamくんってライギョ釣りよりブルーギルの方が得意なんだねっ」
「その通り、ってそれは誰でも当たり前、まぁ、その2人がめっちゃ喜んでたから良かったよ」
「ふ〜んっ、Gamくんって、やっぱ優しいんだねっ♪」
「ウチが優しいのか?ミキ、勘違いするなよ、こんな話しもあるねん、別のヒシ池での出来事やねんけど、そこの池は周りよりも低い所にあるから階段で5mくらい降りるんかな?で、上は結構木が覆い被さってるねんけど、ウチが階段登ろうとしたんやけど、なんか上から音がするんやな」
「・・・」
「その音の正体は・・・」
「えっ?」
「いや、子供らが土をダンゴにして上から投げてたんやね」
「ふ〜んっ・・・、なんか、もっと怖そうなのかなって思ったけどっ」
「なんやかんや言うてもそんなモン当たったら危ないやんか、せやからその子らに『危ないやんけ』って注意したねん」
「そうなんだっ」
「ああ、でもな、その子ら半泣き状態になってたぞ(笑)」
「あ〜っ、Gamくん、すっごいコト言ったんじゃないのっ?」
「うーん、そうなんやろなぁ・・・」
「Gamくんって結構声も低いでしょっ、それにこっちのコトバじゃなくて大阪弁なんだから、人によっては、すっごく怖い、って感じちゃうと思うんだけどっ・・・」
「ああ、『なにしとんじゃ、コラ、危ないやんけ!』とか『おまえ、話し聞いとんのか!』って感じかなぁ・・・」
「そんな言い方、怖がるの当たり前だよっ・・・」
「たぶん、その子らは本気モードの大阪弁、ってナマでは聞いたことないような気がするわ」
「そんなコトしたらかわいそうじゃん・・・」
「ええ年こいたオッさんが子供ビビらしてどうするねん、って感じか?でも、ウチはその辺は容赦せえへんのやなぁ、誰かが言わんとアカンと思うねん」
「うんっ、それは間違ってないと思うよっ、でもねっ、言い方ってあると思うの」
「『危ないですからやめなさい』とか優しく言うのか?そんな言い方で言うコト聞くのか?」
「・・・」
「結局、あの子らの人生で一番の恐怖を感じた瞬間かな?せやから、そんな危ないことコトもせんと思う、ウチの言い方の是非はともかくとして」
「う〜んっ、Gamくんの考えてるコトって、その辺って今もよくわかんないんだけどっ・・・」
「まぁ、ウチは優しくない、ってのが結論、少なくとも『甘さ』と『優しさ』は違うと思う、せやから、ミキ、おまえも気ィ付けた方がいいぞ(笑)」
「・・・」
「ははは、冗談やから気にするなって、で、えーっと、今回の『増刊号』の落としどころは結局なんやったっけ?」
「それはGamくんが『超弩級のヘタレ』でいいんじゃないのっ♪」
「ミキに言われるとちょっとムカつくけど、それが正解やわ、永遠にカムルチィ釣られへんのと違うかな?」
「そんなコト言わないで、Gamくん、頑張ろうよねっ♪」
(2007/7/23発行)