「あれっ?Gamくん、珍しいじゃん、プラモデル作ってるんだねっ」
「・・・ちょっと待て、話しかけるな、今、一番肝心なトコやからな・・・」
「・・・」
・・・・・・
「よっしゃ、完成!」
相変わらず写真がヘタクソやね
滑走路をサンドペーパーで表現してみたけど・・・
「飛行機作ってたんだねっ」
「プラモデルじゃなくて、『食玩』やな」
「『しょくがん』・・・?」
「ほら、コンビニで売ってるやん、知らんか?」
「ミキ、わかんないけど・・・」
「そうやな、いくらミキが『お菓子大好き』やからって関係ないよなぁ、女の子とはジャンルが違うからな」
「そうなんだっ」
「ウチらみたいなのを対象に売ってると思う、飛行機以外にも、戦車とかクルマとか、ガンダムやら色々種類あるぞ」
「ふ〜んっ、じゃぁ、ミキには全然関係ないよねっ」
「その通り、基本的にはお菓子のはずやねんけど、どっちかというと、オマケがメインでお菓子は申し訳程度やわ、昔は『ビッグワンガム』とかいうのがあったけど、レベル的には雲泥の差やねん、ただ、『ビッグワンガム』はちゃんとしたガムが入ってたけど」
「昔っていつ頃のコトかなっ?」
「ウチが小学校の頃やぞ、もう、ウン十年前の話しや、もちろんミキの存在すらない時代やね、まぁ、食玩ってのは会社員の昼休みの遊びにはもってこいと違うやろか?」
「それじゃぁ、Gamくんも会社で結構作ってたりするんだっ?」
「いや、ウチには『決まった昼休みの時間』ってのが存在しない、でも、お客さんトコに行ったら、こういうオモチャ系を机に飾ってる人って結構いるぞ」
「Gamくんなら、そんなのから会話が弾んだり、ってコトがあるんじゃないのっ?」
「たまにな、一番面白かったのが、初めてのお客さんのトコで、『レオパルド2A6』って戦車の食玩が置いてあったんやけど、ウチがそれで遊んでたら、一緒に行った営業さんが『これ何やねん?』って聞いてきたから、『これはドイツのレオパルド2A6って戦車で、砲塔前面がくさび形になったショット装甲と、55口径の長砲身120mm主砲が・・・』なんて適当に言ってたら、それ聞いてたお客さんが腹抱えて笑ってた」
「はははっ、なんか、すっごくGamくんらしい話しだよねっ」
「ああ、お客さんも『レオ2』の食玩でそんな話しする人間が来てるとは思わんかったやろからなぁ・・・」
「あのねっ、前から気になってたんだけど、Gamくんって、もしかすると自衛隊のパイロットだったんじゃないのっ?」
「ミキ、なんでそうなるねん」
「だって、Gamくんって、軍事のこと、特に飛行機はすっごく詳しいし、今のお仕事とその前の会社勤めの間って、なんか『空白の期間』みたいな感じじゃん、そのころの話しって、いつ聞いても『想像に任せる』とか『適当やねん』しか言ってくれないんだもん」
「うーん・・・、ウチは目ェ悪いから自衛隊の航空機は操縦できへん、資格がないねん、まぁ、今の会社でもミキみたいなことは、さんざん言われたよ」
「そうなんだっ・・・」
「・・・気にいらんのか?」
「あのね・・・、ミキ、知っておきたい・・・」
「ごめん、ウチらには『守秘義務』ってのがある」
「でもねっ、自衛隊にいた人って、『自衛隊出身』とか言ってる人って結構いるじゃん」
「あんなん勝手に言わせとけって、時がきたらそれはちゃんと言う、だから、今は勘弁してくれ」
「うん・・・、それじゃぁねっ、その飛行機、何って飛行機なのっ?」
「これはな、『F-4EJ改・ファントムII』ってヤツ」
「『ファントム』って、確か、リールでもあったよねっ?」
「ダイワの昔のベイトリール、『ファントム』やな、ウチ的には飛行機の『ファントム』が元ネタって勝手に思ってる」
「そうだよね〜、そんなこともファイナルダムンにアップしてたもんね〜っ」
「そういうワケで、いきなり『月刊ダムン!』の増刊号を発行するけど、今回のお題は『ファントム』で行く、もちろんリールじゃなくて戦闘機の『F-4』やわ」
「でもねっ、ついこの前に発行したばっかりじゃん、そんなに早く増刊号を発行してもいいのっ?」
「ええねんって、ウチが発行したいから発行するねん」
「またその言い方なんだねっ(笑)」
「この調子やと『週刊ダムン!」の方がいいのかな?いや、ミキちゃんファンのための『週刊ミキちゃん!』ってのはどうやろか?」
「それはちょっと・・・、ファイナルダムンってGamくんの意思で運営されてるんでしょっ、じゃぁ、ミキじゃなくて、『週刊Gamくん!』のほうが絶対いいよっ!」
「うーん、それはちょっと考えとこう、で、『ファントム』って戦闘機やけど、詳しいコトは飛行機ファンのサイトで存分に語り尽くされてるから、別にファイナルダムンでどうこう言う必要はない」
「それじゃぁ、どうして増刊号なのっ?」
「いや、最近、岐阜での仕事が増えてきたんやけど、『飛実』の『ファントム』が飛んでるのを結構目にする、それでやねん」
「『ひじつ』・・・?」
「『飛行開発実験団』っていうのが『岐阜基地』にはあるねん、試作機や装備品のテストとかを任務にしてるわ、言うたら空自のファイナルダムンみたいなモンかな?」
「ふ〜んっ、それじゃぁ、質問なんだけどっ、Gamくんが作った食玩の『ファントム』って結構変わった色してるじゃん、ホントにあんな色してるのっ?」
「あの水色か、あれは『洋上迷彩』っていう迷彩パターンやな」
「あれが迷彩なのっ?迷彩って、緑とか、茶色とかそんなのじゃなかったっけ?」
「ミキが言うてるのは米軍の迷彩服、『ウッドランド』ってパターンと違うか?あのな、迷彩ってのは場所によって違うねん」
「じゃぁ、『洋上迷彩』ってことは、海の迷彩でいいのかなっ?でも、飛行機だから空を飛ぶんだし、ちょっと違うようなっ・・・」
「うーん、何か軍事講座みたいになってきそう、どこから説明すればいいのかなぁ・・・」
「ミキだから、あんまり難しい話しはダメだよっ」
「そうやなぁ・・・、元々あの『洋上迷彩』は『ファントム』の迷彩じゃなくて『F-2』って『支援戦闘機』の迷彩やねん」
「『しえんせんとうき』・・・?」
「そう、『洋上阻止』とか言うて対艦ミサイル積んで艦艇を攻撃する機体やねんけど、それと同じ運用をする『ファントム』にも試験的に同じ迷彩を施してみたらしいわ」
「それじゃぁ、海の色ってコトなのはわかったけど、でも、空を飛ぶんだから海の色じゃダメなんじゃないのっ?」
「いや、対艦ミサイルで攻撃する場合はレーダーを避けるために海面スレスレを飛ぶ、だから飛行機でも下から見上げるんじゃなくて上から見下ろすカタチになる、それやと、海面に紛れ込むような『洋上迷彩』の効果が期待できると思う」
「そうなんだっ、何となくだけど、わかったような気がする・・・・」
「うん、何となくでいいよ、だから、イラクに行った『C-130H』って輸送機をニュースか何かで見たことあると思うけど、あれって『洋上迷彩』よりもまだ明るい水色やねんけど、あれは、下から見上げたときに砂漠の晴天の空に紛れるような色やねん」
「あっ、水色の飛行機だよねっ、こっちでも飛んでたじゃん」
「そう、『C-130H』は『小牧基地』の所属やからな、ウチはあれが飛んでるのを見てめっちゃ嬉しかったぞ、軍用機とカムルチィ好きの人間にとっては大阪より名古屋の方がいい環境やね、ただ、小牧周辺の空やとちょっと効果は薄いなぁ」
「でもねっ、いくら迷彩塗装でも、見たらすぐにわかるじゃん(笑)」
「いや、ちょっとだけ存在を誤魔化せたらいいねん」
「そんなノリでいいのっ?」
「ああ、飛行機って地上の乗り物よりはるかに速いから、一瞬でもいいから判断を迷わすだけでも結構な距離を飛ぶし、そもそも完全に誤魔化すことなんかムリやからなぁ」
「ふ〜んっ、じゃぁ、さっきは試験的って言ってたから、全部の『ファントム』が『洋上迷彩』じゃないんだねっ」
「それで正解、支援戦闘機隊の『第八飛行隊』所属の『ファントム』も機体塗装はグレー、一部の機体のみに『洋上迷彩』を施してたし、要撃戦闘機隊のファントムは全部グレー、っていうか空自の『ファントム』はグレーが標準やわ」
「それじゃぁ、『ファントム』の色って2通りあった、ってコトだねっ」
「基本的にはグレーの1種類やねん、ただ、イレギュラーな塗装として『洋上迷彩』もそうやけど、『戦技競技会』って飛行隊対抗の演習があるねんけど、それ用の特別塗装とか、あと、飛行隊の設立記念の特別塗装もあるぞ、たとえばこんなん・・・」
これのどこが「守秘義務」やねん・・・
「へ〜っ、今度は黒いんだねっ、これも『ファントム』なのっ?」
「うん、これも『第八飛行隊』の『ファントム』で飛行隊の設立記念塗装やねんけど、ただ単純にこれだけやと、航空ファンのサイトでもアップしてると思う、でもな、注目してほしいのは撮影場所やねん」
「う〜んっ、建物の中だよねっ?」
「そう、フツーの航空マニアレベルやとランウェイでの地上展示とか飛行展示の撮影やねんけど、ファイナルダムンの管理人は気が狂ってるぞ」
「これって、もしかして・・・」
「なんや、わかったか?」
「自衛隊の建物の中なのっ?」
「格納庫や、もちろん、ウチが自衛隊に所属しててその時に撮影した、ってヤツじゃないし、航空祭で格納庫を開放してた時でもないねん」
「それじゃぁ、どうやって撮影したのっ?フツーの人はそんなトコに出入りできないじゃん」
「いや、ここから先は『防衛機密』にしとこう、これ以外にも航空マニアが見たら狂喜乱舞するようなアイテムは、この部屋に腐るほど転がってるぞ、やからリールだけじゃないねん」
「・・・」
「例えばウチがたまに着てる軍服みたいなのは、『官品』ってヤツで自衛隊のタグが付いてる本物、もちろんレプリカもあるけど」
「そんなのどこから仕入れてきたりするのっ?」
「フツーはヤフオク、でもウチは違う、それこそ漢字の秘密やわ」
「やっぱ、Gamくんって、よくわかんないよっ・・・、『知れば知るほど奥が深い』って言ったらいいのかなっ」
「でもな、航空機の表面的な細かいコトは航空マニアの方がはるかに詳しいからなぁ・・・」
「でも、それって、いつも通りの『能書きだけじゃない』ってコトだよねっ」
「まぁ、そんな感じでいいと思うわ、あと、『ファントム』で語る事項はなんやろ?一つだけ言うと、通常の運用やと、航空機はエンジンを始動する場合には『電源車』とか地上機材を使うねんけど、『ファントム』は火薬でもエンジンが始動できるようになってる、『カートリッジスタート』ってヤツ」
「どうしてなのっ?」
「地上機材がない野戦滑走路なんかでもエンジンが始動できるようにしたんと違うやろか、日本はそんな運用はしないけど、アメリカやとベトナム戦争あたりでそんなこともしたのかな?ちなみに『F-15』はエンジンを始動するのに機体にもう1基小さいエンジン積んでる、『ジェットフューエルスターター』、『JFS』って呼んでるけど、『桟原』の『S』とは違う、いや、阪神負けすぎやわ・・・」
「ふ〜んっ・・・、でもねっ、その『JFS』を動かすのはどうするのっ?」
「いや、だから、それ用のエンジンがあって、更にそれを始動するエンジン・・・って孫亀・曾孫亀みたいな、そんなワケないやん、『アキュームレータ』って圧力蓄える装置があって、その圧力を使ってる」
「・・・なんだか難しくなってきそうだねっ、話変えちゃうけど、どうしてGamくんって、飛行機とか戦争関係とか、そっち方面が好きなのっ?」
「うーん、使い方は別として、兵器そのものはカッコいいってガキの頃から思ってた、『零式艦上戦闘機』になると芸術作品やからなぁ・・・」
「ミキ、わかんないよっ」
「それでいいよ、わからんで当然、『男の子の憧れ』、そんな感じやろか?だから、『女の子の憧れ』ってのもあったのと違うか?」
「ミキはねっ、ちっちゃい頃から『かわいいお嫁さん』になりたいって思ってたんだよっ」
「ありきたりというか・・・」
「別にいいじゃん、それじゃぁねっ、Gamくんのちっちゃい頃の夢って何だったの?」
「なんやろ?覚えてない、いや、夢もなく漠然と時間を過ごしてたんかなぁ?」
「それって、なんか、Gamくんらしくない・・・」
「アホか、ガキの頃からこんな変態ライギャーやったらどないすんねん、そこまで人間できてないぞ」
「いつもの言い方だけど、よくわかんないねっ・・・、でもねっ、今って食玩じゃなくて竿を作らないといけないんじゃないのっ?『南山・蛇頭殺』って言ってたじゃん」
「うっ・・・」
「あ〜っ、もしかして・・・」
「いや、現在進行中やぞ、アーバー用の発泡ウレタンも仕入れてきたし、『鉛筆削ってカーボンアーバー作戦』やな(笑)、でもな、ウチは竿作るのに思いっきり気合いが必要やから息抜きせんとムリやねん、やから、ちょっと食玩に逃げてみた」
「じゃぁ、完成予定はいつくらいなのっ?」
「とりあえず6月にしておこう、・・・6月?、あっ!『サンダートード』作ってないー!」
「・・・」
「考えたら、こんなアホみたいなことやってるヒマない、増刊号は終わりにするわ・・・」
「はははっ、Gamくん、どっちでもいいから早く片付けちゃおうねっ♪」
(2007/5/21発行)