New Recordの検証を行ったついでに一度試したことがあるこの企画。イマイチ納得できない結果に終わってしまい、再検討、ということで保留していたのだが、新たに注文していたNew Recordの純正BBコグホイールが到着したのでもう一回やってみるぞ。
この娘、あんまり使わんのやけどなぁ・・・
前回の限られた時間では何も検討できなかった。なので、もう一度UCのコグホイール周りを検証してみる。まずはUC純正とB-Trapを比較してみる。
左がUC6501C純正で、右がB-Trapだね
前回もここは確認済みなのだが、穴に面取りが施されているのがUC純正で、ないのがB-Trap。B-TrapをUCに組むとスムーズに回転してくれなかったのだが、これは、ベアリングの問題ではなく、やはり面取りにヒントが隠されていると推測している。
UCのフレーム側、コグホイール取り付けシャフトね
フツーのABUはカップ側にコグホイールを取り付けるのだが、UCはフレーム側にコグホイールを取り付けるようになっている。そして、コグホイール取り付けシャフトの付け根に直径の大きい部分があるのだが、そこと面取り側が接触するのだ。B-Trapの様なフラットな形状だと、接触面積が大きい、すなわち摩擦が大きくなるのではないか、これがUC純正の様に面取りが施されていれば接触面積が小さくなるので摩擦が少なくなる、という風に考えた。摩擦についてはBG7001HSの改造編で「ある程度の圧力までは接触している面積には左右されない」と述べているのだが、圧力を考慮しないでいいのであれば接触面積が小さい方が摩擦を小さくできる、という考え方だ。
もう一つ、摩擦が発生する箇所なのだが、取り付けシャフトとコグホイールの穴との間でも摩擦は発生している。ここはベアリングがあった方が摩擦が発生する面積は小さくできるのはもちろんだ。
これは6000REDの取り付けシャフト
取り付けシャフトとコグホイールの穴との摩擦、という意味では最近のABUの場合、上の画像みたく途中を逃がし加工しているので接触面積が少なくなる、ということは摩擦も減少させることができるだろう。
あと、右投げ左ハンドル限定だけど、投げる際にはハンドル側が下を向く、すなわちコグホイールの面取り側が下を向くので、赤の矢印の如く、重力の影響によって面取り側の摩擦は右ハンドルより増加することも付け加えておく。
ということで、New Record純正BBコグホイールを改造するポイントは2点、
これ以外だと、穴あけ軽量化、なんてのも考えられるのだが、今回はちょっとパス、次回のお楽しみだね。
お次は実作業編、技術的に考えれば、
コグホイールにベアリングをもう1個追加できるように加工、更に穴は拡大してシャフトとの摩擦面積を減少させる
なんてのがベストだと思う。管理人はオモチャだけどフライス盤があるので、その程度ならどうにかなる。だけど、ここでいきなりそれをやっても全然面白くないし、「またなんかやってけつかる」程度の意味合いしか持たないだろう。なので、今回は手作業オンリーで行くぞ。使う道具もホームセンターで売ってるような、誰にでも入手できる道具しか使わん。一応、「入り口を作ろう」なんてコメントしてるからね。
まずは用意するものから、
ちょっと値段高いけどね・・・
鉄工用ドリルを使わないのは先端形状がちがうからなのだ。
左上がタイル用で、右下が鉄工用
鉄工用のドリルだと、ポリアセタールのような樹脂を相手にすると思いっきり喰い込んでしまって処置がないのである。なので、形状的に喰い込みの少なそうなタイル用を選択している。ただ、タイル用は先端部だけ超硬合金、要するに炭化タングステンのチップをロウ付けしているので結構値段が高かった。1本800円くらいしたような・・・。先端形状が良ければそんなにいいドリルを使う必要がないのは当然のことだ。
今回は専用工具だね
なんでベアリング1コ3000円やねん、ぼったくんな、PFJ!
コグは300円くらいやったと思う・・・
あとはヤスリとかサンドペーパーくらいかなぁ。そんなに特殊な道具は使ってないはずやけど・・・。まあいい、実作業を紹介するよ。
コグホイールの穴を途中まで4.5mmのドリルで拡大してあげる。4.5mmで貫通させてしまうと、回転時に首を振ってしまって余計な摩擦が発生するのと、ギヤの噛み合いがおかしくなる事が想定される。なので、適当な深さまででやめておこう。それじゃぁ、どれくらいがいいの?ごめんなさい、管理人は適当な人間なので、本当に適当に加工してしまった・・・
本気で手作業なのだ
ドリルは逆方向、要するに反時計回りに回した方が喰い込まなくていいだろう。加工後はこんな感じなのだが、わかりにくいなぁ・・・
一応、途中でやめておいたけど・・・
New Record純正BBコグホイールは、はめ込み部分だけちょっと内径の小さい段付きの部分があって、そこが抜け止めの役目をしている。上の画像だと一番奥の部分だ。これがあるとUCの取り付けシャフトには組めないのと、組んだとしても厚みが増えてしまって止め輪で固定できないのだ。なので、ヤスリで削ってあげることにする。但し、段付きを完全には削ってしまわないこと。ちょっと残しておく程度にしておいた。これから更に面取りするのだが、段付きを残しておいた方が接触面積が減少するだろう、というのがその理由だね。
段付きが残ってるのがわかると思う
ごめん、ベアリング組んでしまってるよね・・・
一応、測定はしておいたのだが、0.5mmくらい削ったのかな?
左が加工前で7.0mm、右が加工後で6.5mmといった感じか
ギヤの向きが逆なのは許してね
ヤスリで削り終わったらサンドペーパーで滑らかにしておこう。なので、6.5mmよりもちょっと小さくなってるはずだ。ペーパー掛けが終わったらあとは面取りを施せばよい。
これはドリルと違って時計回りに回せばよい
調子に乗って段付きを全部削ってしまわないようにね!
加工後はこんな感じだ。
わかるかなぁ・・・
何とか判別できそう?段付きを残しつつ、面取りを施して接触面積を減らす、ということなのだ。あとはベアリングを組んで油を差して回してみるだけ。ただ、加工後はどうしてもバリが残ってしまうが、これは綿棒でグリグリやったら除去できた。まぁ、この辺は適当かなぁ・・・
コメントしなくてもいいと思うけど、左がBB化コグホイールで右がUC純正ね
さて、お楽しみの結果発表、今回は効果あり!純正よりもいい感じで回ってくれます。明らかに効果あり、と声を大にして言っていいと思う。なので、大成功だね、おめでとう!!(これで飛距離が何mアップするのかは知らない・・・)。ただ、コスト的にはちょっと高く付いたのが残念だけど、ないものは作る、というのが管理人の発想なのでこれは許容範囲だ。でも、PFJのぼったくり価格のベアリングだけはどうにかしないといけないのだが・・・。あと、チャレンジャーな人はコグホイールの穴を拡大するのではなくて、取り付けシャフトを現行ABUみたいにヤスリで段付きに削ってしまう、ってのもアリだろう。そっちの方が簡単&安いだろうし。
たまには成功しないと「おまえ何やってんねん、このヘタレめが!」なんてご指摘もあるだろうから。それじゃぁねっ♪(2007/4/23更新)