「ほな、まずは『規格編』から始めよか、『JIS』は『日本工業規格』やな、ボールベアリングって『JIS』で標準化されてる規格品やねん、精度か寸法とかな、だから、釣り具メーカーが適当なサイズのボールベアリングを作ってるんじゃないねん、あと外国でも国際規格の『ISO』やドイツの『DIN』、アメリカはベアリング製造者協会の『ABMA』とかあるけど、まぁ、変わらんわ、だからABUに国産のボールベアリングを組んだりできるねん」
「そうなんだっ」
「ただ、『メートル系』と『インチ系』っていう度量衡があって、もちろんそれぞれの互換性はない、日本やとインチは関係ないし、外国でもアメちゃんやからな、『PENN』のベイトリールは持ってないから知らんわ、でも『Quantum』はアメリカやけど『メートル系』やったぞ、Made in Chinaやからかな?」
「Quantumはちょっと意外だよねっ」
「唯我独尊のアメちゃんにしたらな、で、ベイトリールのボールベアリングな、電動リールやトローリングのでっかいリールは知らんけど、『深溝玉軸受』っていうのを使ってる」
「『ふかみぞたまじくうけ』・・・?」
「ああ、一番一般的な、ごく普通のボールベアリングやぞ、それでな、リールに使うような小さいボールベアリングは『ミニチュアベアリング』とか『小径玉軸受』とか呼んでるわ
ミニチュア玉軸受はミニチュアベアリングでいいぞ
で、これ以降のベアリングって表現は原則的にボールベアリングのことやから付け加えておく、ハンドル軸のローラーベアリングは、また別やね」
「ふ〜んっ」
「あと、ベアリングの大きさは『呼び番号』という表現で、これも『規格』がある、例えば旧ABUのベアリングは内径3mm、外径10mm、厚さ4mmやけど、これの『呼び番号』は『623』ってなっている」
「『ろくにぃさん』?・・・」
「そうや、初めの『6』は軸受けの種類を表す『形式記号』で『6』は『深溝玉軸受』のこと、次の『2』は『直径記号』で同じ内径のベアリングでもこの数字が違うと幅や外径が違う、もちろん大きいベアリングはそれだけ大きい負荷が掛けれる、数字は『7』から始まって『4』まであって、『7』が一番小さく、この『形式記号』と『直径記号』をあわせて『軸受系列記号』とも言う、で、最後の『3』はベアリングの内径のことやな、そしたら、ミキ、『軸受系列記号』が『62』の内径10mmのベアリングの『呼び番号』はどうなる?」
「そんなの簡単じゃんっ、『6210』でしょっ」
「大外れ!『6200』が正解やぞ」
「え〜っ、『00』って何のことっ、最後はベアリングの内径でしょっ?」
「残念ながら内径を直接表示するのは9mmまで、10mm以上は『内径番号』という表現になる、これは『00』から始まって『01』、『02』、『03』・・・と続いていく、『00』が10mm、『01』は12mm、『02』は15mm、『03』は17mmになる、ミキの言った『6210』は内径50mmのベアリングのことやぞ、ウチらの使うベイトリールでは絶対ありえん」
「ミキが間違うのをわかってて聞いたんでしょっ、ずるいよっ」
「そう言うなって、通常はこの『呼び番号』に沿って表現してるはずやけど、『ミネベア』ってメーカーだけは変な呼び方をする、『R-1030』やねんけど、外径と内径の意味やな、あと、『JIS』以外の寸法のベアリングもあって、これは各メーカーで呼び方はバラバラやわ、現行ABUのベアリング、内径4mm、外径10mm、厚さ4mmのベアリングは規格外の寸法やねん、じゃあ、次は『メーカー編』な、日本のベアリングメーカーを挙げてみるぞ、ミキはベアリング作ってる会社って知ってるか?」
「そんなの知ってる訳ないじゃんっ、さっき出た『ミネベア』だっけ、それだけは知ってるよっ(笑)」
「それはアホでもわかるって(笑)、で、 まず『日本精工』、ここは『NSK』、それから『NTN』、大昔は『東洋ベアリング』って言うてたから工場長みたいなジジィ連中にはそっちの方が通じる、次に『ジェイテクト』でちょっと前までは『光洋精工』やったけどな、ここは『Koyo』、それからさっきの『ミネベア』は『NMB』やな、『ミネベア』は先に挙げた3社と違ってミニチュアベアリング専門、あと、防衛庁に納入している拳銃とかも『ミネベア』、大手はこれ以外やと『不二越』かな、一応『NACHI』って言うてるけど、ここはベアリングより鉄工用のドリルの方が有名で、工具屋のオッさんに『ドリルくれ』って言うたら大抵は『NACHI』のドリルを出してくれる」
「ねぇ、Gamくん、その『NSK』とか『NMB』とかって略称のことなのっ?」
「まぁ、そんな感じや、リールじゃなくって市販のベアリングのシールドには『NSK』とか『NTN』とか刻印が打ってるから、どこのベアリングか一発でわかるねん、逆に言うと一般的なベアリングで刻印がないのはうさん臭いかも知れんぞ、開放型はまた別やけど、まぁ、日本のメーカーはこんなもんやと思うけど、外国のメーカーであえてここで挙げるなら、スウェーデンの『SKF』かな」
「それじゃぁ、ABUのベアリングって『SKF』製なんだっ」
「たぶんな、『EONSports』や『TORNO』の『SKFスプール』ってあったけど、あれは100%間違いなく『SKF』が噛んでる、『SKF』のサイトに紹介してあったから今から見ようか?」
「うんっ、・・・あっ、本当だねっ、じゃぁ、メーカーで性能差があったりするのかなっ?」
「うーん、細かいコトまでは試してないから断言は出来んけど、規格通りに作ってるんやから、同じ精度等級やったら性能差ってないはずやけどな、差がつくようやとそれこそ規格の意味がない、ただ、ミクロン単位のコトやから企業のノウハウってのがあるやろし、もしかすると多少は性能差があるのかも知れん、想像になるけど『ミネベア』はミニチュアベアリング専門やから特殊なノウハウを持ってるかも?巷のウワサでは『Koyo』は『NSK』や『NTN』よりちょっと落ちるとか・・・、でもな、基本的には日本の大手企業が本気で作ってるんやから、リールで使う分にはメーカーの違いでそんなに大きい差ってないような気がするけどなぁ」
「えっ、それってリールってそんなに精密じゃないってことなのっ?」
「ミキ、世の中にはなぁ、リールよりももっと精度を要求される機械がいくらでもあるぞ、リールがいい加減っていう風にはウチは言ってないけど、遊びの道具やからな、極端すぎるけど航空宇宙関連の機器に比べるとどうかな?まぁ、この精度の件は微妙やからあとでコメントするわ、まぁ、『メーカー編』はこれくらいにしとこう」
「なんか、簡単に終わったねっ、これならミキでも大丈夫だよっ」
「まだ最初やから、まずは軽く、やな、これから先はまだまだ長いから楽しみやぞ、次は『構造編』に行こう」
「うんっ、そうだねっ」
(2007/2/1更新)
一応、予告編にもどるけどっ、本当は閉じてねっ