5001C以来の左ハンドルの登場は、ULTRAMAGシリーズの2代目、XLシリーズからになる。
1号機・フットナンバー 850200 |
2号機・フットナンバー 850200 |
フットナンバー 85-0 |
左の2個がULTRAMAG XL FLIPPING、右がXLT LH。いずれも当時のABU最高級モデルである。よって新品ではなく中古。
標準小売価格は確か4万6〜7千円したのではなかったか。それも1985〜86年当時に。XL LHよりXLT LHの方が1000円ほど高かったような。だからXLT LHは、限定品を除けば20世紀中最も高額な市販左ベイトとして、その名を残すことだろう。バブルの象徴とも言うが・・・
リールとして見た場合特徴的なのは、フローティングレベルワインドとフリッピングスイッチ、スプールを簡単に外せるバヨネット機構ぐらいか。初代ウルトラマグがスプールが簡単に外せなかった反動で生まれたバヨネット機構だが、初代バヨネットのXLは固定状態でもガタが大きく、2代目バヨネットのXLTで一応の完成形を迎える事になる。それでもガタは存在し、この手の機構はスコーピオン系のねじ込みフリップアップでようやく完成したのではないだろうか。一方、フローティングレベルワインドは、クラッチを切るとレベルワインドのシャフト部とガイド部が切り離されてフリーになり、ガイド部が糸の動きに追随して左右に動く構造になっている。ダイワのゼロフリクションレベルワインドが、クラッチを切った時にレベルワインドを左右に解放して完全フリーにすることを思えば積極性に欠けるが、いずれもが当時だけの装備だったことを思えば、どっちもどっちだ。また、この時代に始まったフリッピングスイッチも終わってしまった。シマノのフリッピング専用リール、ブラッシュバスターなんてのもありましたね。
中学生当時、溜息をついてABUのカタログを眺めていたのを思い出す。あこがれの彼女を手に入れた幸福感と失望は、まさしく「かわいいあの娘」だ。